解説:三橋 曉 本体:700円
集英社文庫刊
読売テレビ開局55年、おめでとうございます。節目の年の記念ドラマに選んでいただいたことを光栄に思います。原作の『怪物』(集英社刊)は、私の作品の中でもとりわけ孤独感が強く、ホラー色の強い小説です。このたび、佐藤浩市さん、向井理さんほか、そうそうたるキャストで映像化されると聞いて、わくわくしております。
先日、都内のロケ現場を見学しました。香西刑事と真崎亮に扮するおふたりの対峙シーンを拝見し、正義と悪のはざまで苦悩する香西刑事と、ひんやりした水のイメージをまとうモンスター・真崎亮が、まさに目の前で血と肉を持って立ち上がる瞬間を見ました。
原作とはまた異なる、新たな魅力を持つ作品に仕上がることを確信しています!
四月某日。都内の某お蕎麦屋さんにて行われた『怪物』ロケを、見学してきました!同行するのは、原作に関わった集英社の編集さんトリオです。集英社の玄関前に集合し、「行くぞー!」と雄たけびは上げなかった……けど……内心は皆さんそんな気持ちだった、でしょう。たぶん。
春だというのに、なぜだか妙に肌寒い一日でした。しかしドラマのスタッフは、寒さに負けず路上でお仕事です。た、たいへんだ……。考えてみれば、冬でも撮影はありますよね。風邪ひかないでくださいね、スタッフの皆さん!
撮影されていたのは、佐藤浩市さん演じる香西刑事と、向井理さん演じる真崎亮が、初めてまともに対峙する緊迫のシーンです。
ドラマの内容が内容だけに、撮影前に俳優さんの気を散らしてはいけないのでは?と心配しまして、話しかけるのもおそるおそるだったんですよ(笑)現場には、キーンと張り詰めた緊張感がただよっておりました。むむ……傑作誕生の予感……。
リハーサルを繰り返し、本番へ。
ロケの現場は、お店のすぐ前を轟々と大型の車輛が行き交います。こんなに周囲の音が大きくて、大丈夫?と素人ながら驚きましたが、そこはさすがプロの技。個人的に、撮影スタッフの技術的なお仕事にとても興味が湧きました。
画面を通して、まさにリアルタイムで演じられているシーンを覗くと――「香西刑事だ!香西刑事がいる!真崎くんがいるー!」そこには、佐藤浩市さんと向井理さんの肉体を借りて、まさにこの世界に立ち上がる「怪物」たちの姿が!
さあ皆さん、ドラマを見て一緒にシビれましょう♪
私も放映日を楽しみにしています!