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#7435月12日(日) 10:25~放送
ベトナム

 今回の配達先は、ベトナム。ここで少数民族のために奮闘する高田優佳さん(26)へ、茨城県で暮らす父・弘治さん(58)、母・智子さん(56)の想いを届ける。
 実は以前は千葉で働いていたという優佳さん。だが、「ある日突然、『青年海外協力隊に行くから』って…」と、智子さんは娘から伝えられたときの状況を明かす。弘治さんも「学生のときから散々いろんな国に行っていた」と娘の行動を振り返りつつ、「今は日本人が職場にいないようなので、コミュニケーションが…ベトナム語もスムーズに喋れるわけでもなく、大丈夫なのかな」と心配する。 
 優佳さんが住んでいるのは、首都ハノイから約300キロ、北西部の山岳地帯にある小さな街・ムーカンチャイ。少数民族のモン族が暮らしている。この街の名所が、見渡す限りの急斜面に広がる圧巻の棚田。ベトナム国家文化遺産に指定され、海外の有名旅行雑誌では「世界で最もカラフルな場所」の1つに選出された。しかし険しい山道など村へのアクセスが悪いこともあり、観光客の姿はまばら。そこで優佳さんは青年海外協力隊として4か月前から現地に赴任し、「もっと観光客を呼び込みたい」という地元の声に応えて、ムーカンチャイの知名度アップと観光資源の開発を担っている。
 美しい棚田に加えて、優佳さんが新たな名物になると見込んでいるのが、織物。モン族の民族衣装の元となるもので、「織物村」と呼ばれるチェクニャ村では現地の女性が糸をつむぎ布を織っている。その1人であるニン・リーさんは、優佳さんの仕事に協力してくれる良き理解者だ。彼女らが作る織物には、ろうけつ染めで様々な模様が施されている。これらは1つ1つに意味があるが、実はモン語には文字がないため、これまで観光客に模様の説明をする方法がなかったという。そこで優佳さんは文献を調べたり、有識者に話を聞いて模様の意味を探り、一覧表を作っている。さらに刺繍が加えられたモン族特有の織物は、すぐれた特産品ながらこれまではすべて地元の人に向けたものだった。優佳さんはこの織物を活かして、観光客が気軽に買える土産物の開発も手掛けている。
 小学生の頃からずっと英語に興味を持っていた優佳さん。高校時代にアメリカにホームステイし、日本に来た外国人観光客をボランティアでガイド。こうしていつかは海外で働きたいという夢を膨らませ、大学生の時にはアルバイト代をすべて海外旅行に費やし20か国以上に赴いた。現在、ベトナムに来て4か月。民宿の一室を借りて生活し、持ち前の行動力で街や人にも馴染んでいるようだが、地域には日本人がおらず、ベトナム語もいまだ拙いため心細くなることも。ただ任期は2年。その中でできることはやろうと、体験プランの予約サイトを立ち上げたり、集落の学校を訪ねては子どもたちに日本文化や英会話を教えている。
 ある日、優佳さんはムーカンチャイの土産物として、モン族のリボンをアレンジしたピアスをお披露目した。まだ試作だが、ニンさんたちは「とてもきれい」「作り方も簡単でいい」と大喜びする。そんな様子に優佳さんは手ごたえを感じたようで、「私の活動をきっかけに、ここの人たちなりに考えてアクションしてもらえたら。文化を傷つけたり、変えたりとかは絶対にしたくないので、彼女たちがベースで私がアイデアを投げる。その発展の補助を出来たらいいなと思います」と語る。
 ムーカンチャイで暮らす人々が今よりも幸せに生きられるように、そのきっかけを作るため奮闘し続ける娘へ、両親からの届け物は、優佳さんが大好きだった絵本「わたしのワンピース」。主人公のウサギが様々なところに出かけて、いろいろな柄のワンピースを見つけるというストーリーで、子どもの頃にいつも持ち歩いていた絵本だった。添えられた手紙には「優佳も今はベトナムという国で、いろいろな体験をしながら素敵なワンピースを探していることでしょう。すぐには見つけられないかもしれないけれど、焦らず時間をかけて、そこでしか見つけることのできないワンピースを探して欲しいと思います」との言葉とともに応援のメッセージが綴られていた。そんな両親の想いに「見てくれてたんだなあと思います」と感激する優佳さん。そして「本は明日からリュックに入れて持ち歩こうかな」と笑顔を見せるのだった。