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#7322月11日(日) 10:25~放送
ネパール

 今回の配達先はネパール。ヒマラヤの秘境に潜む怪魚を求め、フィッシングガイドとして奮闘する森勇人さん(42)へ、神奈川県で暮らす父・茂さん(74)の想いを届ける。
 勇人さんが暮らしているのは、ポッシムトールという村。首都・カトマンズから国内線に乗り換えて1時間、到着した西部の街・ネパールガンジからさらに車を2時間走らせたところにある。2011年、勇人さんは友人のネタンさんと共にツアー会社「ヒマラヤン・フィッシング・ツアーズ」を立ち上げた。ジャングルの奥地にしかいない魚を釣るツアーをメインに、断崖絶壁に蜂蜜を取りに行くツアー、エベレストを眺めながら朝食を食べるツアーなど、まるで冒険のようなオーダーメイドのツアーを企画している。ツアー参加者が宿泊するロッジは2018年から建設を開始し、間もなく完成の予定。ロッジは自宅も兼ねていて、妻のサンティさんが料理担当として一緒に働いている。
 今回行う2泊3日のフィッシングツアーでは、勇人さんの友人であり、世界各国で釣りをしてSNSなどで発信している“サラリーマン怪魚ハンター”こと沖山朝俊さんを案内するという。ツアーには、キャンプの準備のほか、トラなどの野生動物から身を守るため8人ほどのスタッフが同行。また、地元でとれた新鮮な食材を使ったネパール料理が味わえるのもツアーの売りの1つで、食料は事前に村で調達。チキンカレー用に生きた鶏も連れて行き、キャンプを張った現場で料理担当のスタッフが調理する。
 ツアー初日。ジャングルを走って3時間、ようやく釣りのスタート地点となるガンジス川の上流に到着した一行。狙うのは、ヒマラヤにしか生息しない幻の魚・ゴールデンマハシールだ。フィッシングガイドにとって最も重要な仕事が、広大なジャングルの中で魚がいるポイントを見つけること。勇人さんは、時には2週間以上かけてジャングルの奥地を探検し、誰も知らないポイントを開拓している。今回は、過去に釣り上げた実績のある絶好のポイントへ。すると川の中には、金色に輝く美しい魚が。この日、沖山さんは見事65センチもあるゴールデンマハシールを釣り上げた。さらに翌日には、マハシールを上回る獲物・ライギョを捕らえ、沖山さんも大満足。「お客さんが感動して喜んでいる、その姿を見るのが最高ですね」と共に喜ぶ勇人さんは、「ネパールの自然は子どもの頃から夢に描いていた秘境。地図にないところもまだまだありますし、そういうところを自分の目で見てみたい」と語る。
 幼い頃から父に連れられ、自然の中で遊び回っていた勇人さん。高校卒業後は就職したものの、大自然で生きる夢を諦めきれず退職し、24歳の時にヒマラヤを擁するネパールに語学留学した。そして、その頃に出会ったサンティさんと結婚。両親は日本の仕事を辞めるときも、ネパールで生きることを決めたときも、何の反対もせず送り出してくれたという。今回、現地で働く息子を見た父・茂さんは、「嬉しそうな顔をしてましたね。あんな顔はあまり見ないですね」とほおを緩める。
 コロナ禍により仕事は大打撃を受けたが、冒険ツアーの拠点となるロッジも間もなく完成する。「村には昔ながらの生活がいまだに残っていて、人々が純粋で、すごくいいところだなあと思う。またこの場所で、この地域の人たちと触れ合いたいと思ってもらえるような、そんなロッジにしたい」。そう夢を語り、新たなスタートを切るべく奮闘する息子へ、父からの届け物は手作りの大きなスピーカーとアンプのセット。木工が趣味の父が息子のロッジに置いてほしいと作ったものだ。さらに父から届けられた歌が、手嶌葵の「明日への手紙」。「元気でいますか。大事な人はできましたか。いつか夢は叶いますか…」スピーカーから流れる曲を聴きながら、父が綴った手紙を読む勇人さんの目に涙があふれる。「今まで支えてくれたことを思い出して、泣くつもりはなかったんですけど」と照れ笑いする勇人さん。そして「親孝行ができるように頑張りたいと思います。ロッジができたらぜひ来てもらって、ここの自然を案内して…少しは親孝行したいと思います」と両親に感謝の想いを伝えるのだった。