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#7108月13日(日) 10:25~放送
シンガポールSP

 今回の配達先は、シンガポール。“ぐっさん”こと山口智充が自ら届け物を携え、日本から海を越えて現地で奮闘する人たちに会いに行く「シンガポールスペシャル」をおくる。第2弾となる今回は、動物看護師として働く渡邉恵子さん(50)を訪ねる。
 ぐっさんがやってきたのは、恵子さんの職場であり、今シンガポールで大注目の施設「バードパラダイス」。2023年5月にオープンしたばかりで、広さは東京ドーム約3.6個分とアジア最大級。中はアジアゾーン、アフリカゾーンなど地域ごとに分けられ、それぞれに生息している鳥が見られるようになっている。園の最大の魅力が、鳥たちがエリア内で放し飼い状態になっていること。来園者たちは世界中から集められた約400種類、3400羽もの鳥を身近な距離で感じることができる、まさに鳥たちの楽園だ。ぐっさんも、多くの人でにぎわうバードパラダイスを恵子さんに案内してもらうことに。とにかくスケールが大きい園内に仰天するぐっさん。そしてオオハシやイワドリなど日本ではなかなか見かけることのない鮮やかな色の鳥たちを間近で見て大興奮する。さらに、バードパラダイスでは世界レベルのバードショーが楽しめるのも魅力で、驚きの特技を持つ鳥たちのパフォーマンスにぐっさんも大きな拍手をおくる。
 パーク内で生息する鳥たちは、常に元気な状態でいるわけではない。そこで恵子さんら動物看護師が、病気やケガで傷ついたパーク内の鳥たちのケアや獣医のサポートを行っている。仕事場であるバックヤードには鳥専用のCTスキャンなど最先端の医療設備が整っており、一角には治療中の鳥たちが羽を休める入院施設も。急患として鳥が運ばれてくることも珍しくなく、先日も鳥の腹の調子が悪いとのことで、麻酔で眠らせてから急遽胃カメラを使って検査をすることになった。それでも原因が分からなかったため、緊急で腹を開ける手術をするなど、人間と同じような処置を鳥たちにも行なっている。鳥は自然本能が強く、症状があっても隠す生き物。そのため、「食欲がない」などちょっとした変化を見抜く観察力が動物看護師には必要なのだという。
 慣れた手つきで処置を行う恵子さんだが、実は鳥の看護師になったのはつい5年前のこと。小さいころから動物が大好きで、動物看護師の資格を取得するとシンガポールの水族館でイルカトレーナーとして働き始めた。そこで10年以上勤務していたが、水族館の閉園をきっかけに鳥の看護師に転身したのだった。夫のジュワードさん(48)とは水族館で働いていた時に出会い結婚。現在は2人の子どもがいて、19歳になる娘の海里さんは恵子さんのことを「私の親友」と呼ぶほどの関係だ。恵子さん自身も静岡県の母・公子さん(79)とは友達のようだったといい、シンガポールに来るときも母が後押ししてくれたという。また、中学から一緒だった地元沼津の友人たちとの絆も深く、かつてイルカのトレーナーをしていた頃、わざわざ日本からイルカ用の担架を運ぶのに力を貸してくれたこともあったと、ぐっさんに思い出話を語る。
 動物の命を守るため、獣医ではなく看護の道で生きがいを感じている恵子さん。高齢になった故郷の母のことは気にしながらも、今の家族との時間も大切にしている。そんな恵子さんへ、沼津からの届け物は地元の友人が作ってくれたアルバム。そこには久しく会えていない仲間の写真、さらには最近の両親の姿もあった。みんなの元気な様子を知り笑顔の恵子さん。だが、母からの手紙を見ると、一変して号泣。手紙には、「これからも体に気を付けて、悔いのない人生を」とメッセージが綴られていた。「母はいつも『悔いのない人生を』と言っていた。それを全うします」。そう言って涙をぬぐう恵子さんに実はもう一つ、母からの届け物が。それは大好物の高野豆腐。娘を知り尽くした母の想いに、恵子さんは再び大きな笑顔に戻るのだった。