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#7098月6日(日) 10:25~放送
シンガポールSP

 今回の配達先は、シンガポール。“ぐっさん”こと山口智充が自ら届け物を携え、日本から海を越えて現地で奮闘する人たちに会いに行く「シンガポールスペシャル」を2週にわたっておくる。第1弾となる今回は、ジェラート店店主のキム・ヒユンさん(27)へ、北海道で暮らす母・ヨンへさん(59)の想いを届ける。
 ヒユンさんのジェラート店「レ・ヴァーロ」があるのは、シンガポールでも一番の観光地。ここで、ヒユンさんの地元である北海道の牛乳、ゆずなど日本の食材やシンガポールのフルーツを使ったジェラートを販売している。ヒユンさんのもとを訪ねたぐっさんも早速、一番人気の「北海道ミルク」を試食。わざわざ北海道の八雲町にある牧場の牛乳を直輸入しているといい、ぐっさんはしっかりと感じるミルクのおいしさに目を丸くする。これらのジェラートは毎朝店で手作り。レシピは全てヒユンさんが考えている。シンガポール名物のマーライオンや有名ホテルを望む店舗の立地の良さはもとより、味の良さが評判となり、週末には1日300人以上もお客さんが来る繁盛ぶりで、リピーターも多いという。
 4人きょうだいの次女として育ったヒユンさん。父はヒユンさんが高校生になる前に他界したが、父に代わり焼肉店を営み子どもたちを育て上げたのが母のヨンへさんだった。一方、ジェラートのオーナーは、ヒユンさんの父の親友。父の葬儀のときに初めて出会い、きょうだいの援助を申し出てくれたオーナーの計らいでヒユンさんは22歳のときにシンガポールに渡り、アイスクリーム店のアルバイトを始めた。しかし程なくして、店は新型コロナの影響で閉店することに。諦めきれなかったヒユンさんは日本に帰国し、地元札幌で人気のイタリアンレストランでジェラート作りを一から学んだ。そしてオーナーの支援を受け、2021年末に店長としてシンガポールでジェラート店をオープン。開店から1年半でスタッフ9人を抱える人気店に成長させた。ただ、まだまだメニューが少なく、常に新商品の開発に励んでいるといい、ぐっさんは新たなレシピを作るため地元の市場を訪ねるヒユンさんに同行することに。市場には“果物の王様”ドリアンや、日本ではなかなか見ない種類のフルーツがたくさん並んでいる。今回はマンゴーをベースに何かを合わせたいというヒユンさんは、購入したフルーツでジェラートの試作を開始する。さらにぐっさんのひらめきで、市場で見つけたランブータンとロンガンというライチの仲間を加えてみることに。完成したジェラートは、予想以上の仕上がり。しかも「食感を残す」というぐっさんの一言が大きなヒントになったようで、ヒユンさんは「ぜひ今後、食感があるフレーバーを用意したい」と目を輝かせる。
 店を任されて2年目。当初はコロナ禍で赤字が続き、不安な日々をおくるうちに過呼吸になり、ついにはパニック障害と診断されたというヒユンさん。しかし、それでもギリギリまで日本の母に連絡することはなかった。「逃げた先は行き止まりかもしれない。だから同じ労力を使うなら、逃げるよりも進んだ方が気持ちが楽」。失敗してもやりたいことへ突き進むところは、亡くなった父に似ていると言われると明かす。
 翌日、ぐっさんたちがやってきたのは、古くからの建物をリノベーションした飲食店が立ち並ぶタンジョン・パガーという街。実はヒユンさんはアイスクリーム店の激戦区でもあるこの街に2号店を出したいと考え、スタッフとともに視察に来たのだ。中でも以前から気になっていたという人気店を訪ね、店独自のユニークなフレーバーのアイスを試食。味だけではない成功の秘訣を感じ取り、大きな刺激を受けたようだ。
 27歳で店を任され、重圧に耐えながらも充実した毎日をおくる娘へ、北海道の母からの届け物は手作りのトッポギ。小さい頃から大好きだった思い出の味だ。思わず涙がこぼれるヒユンさん。手紙に綴られた母からのエールを読むと再び涙があふれ出すも、「これまでお母さんにはたくさん投資をしてもらったので、これから返していきたいですね」と前を向き、更なる奮闘を誓うのだった。