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#6924月2日(日) 10:25~放送
アメリカ・ハワイ島

 今回の配達先は、アメリカ・ハワイ州。アスレチックトレーナーとして活躍する市川彩さん(36)へ、三重県で暮らす妹・章(ふみ)さん(34)の想いを届ける。 ハワイ州最大の島・ハワイ島の北部にあるワイメアという自然豊かな内陸の町で暮らす彩さん。勤務先のHPA(ハワイアンプレパラトリーアカデミー)は、地元の生徒から世界25か国の留学生までが通うハワイ島でも有数の私立高校で、ここでスポーツをする約200人の生徒たちのケガの対応やリハビリを行っている。彩さんのもとにはテーピングをしてほしいという生徒やリハビリに取り組む選手らがひっきりなしにやってきて、行列ができるほど。休む暇もないが、どんなに忙しくても1人1人と向き合い、ケガの程度に応じてプログラムをかえている。また試合にも同行し、ある日はハワイ島のすべての高校が参加するレスリング部の地区大会へ。選手に起き上がれなくなるアクシデントが発生したものの、すぐにかけつけ状態を確認。彩さんの適切な処置で試合は続行できると判断され、大きなケガもなく無事に終えることができた。
 小学校の頃からサッカー一筋で、将来はスポーツにまつわる仕事をしたかったという彩さんは、新たな道を模索するため高校のときにカナダに留学。ホストファミリーがフィジカルセラピスト、いわゆる理学療法士だったことからそのような仕事に興味を持つように。そんな中で、アメリカにはスポーツ選手と医療と両方に携わることができるアスレチックトレーナーという仕事があると知る。「これや!」と道を決めた彩さんは自分で学校を調べ、アメリカの大学に進学。猛勉強の末、アスレチックトレーナーの国家資格を取得したのだった。両親は「自分で決めたのならやりなさい」と、常に夢を応援してくれていたが、父・昭二さんが6年前、母・ひとみさんが4年半前に他界した。現在働くハワイ島は、家族で行った初めての海外旅行先という思い出の地であり、母が大好きだった場所。そのため、彩さんには母を呼んであげたいとの思いもあってハワイで働くことを決めたのだった。母を再びこの地に連れてくるという約束を果たすことはできなかったが、両親を病気で亡くしたことで、将来は「ハワイで病気やケガをしない体づくりのサポートをやりたい」という夢も持っている。
 妹の章さんは、「母は姉のことが大好きで、病気になっても毎日気に掛けていた」と明かす。妹としては「お姉ちゃんばっかりやん、というのはあったけど、姉は頑張っているし、私も尊敬していたので、嫉妬しつつも『お姉ちゃんはすごいな』というのはありました」と振り返る。
 毎日学生たちのケアに追われながらも、「みんな若いので、毎日回復していくのを見るのが楽しいし、飽きないように色んなエクササイズを考えて教えていくのも楽しい。この子たちがスポーツで活躍したり、元気になったら嬉しいです」とアスレチックトレーナーの仕事にやりがいを感じている彩さん。母と一緒に住みたかったハワイ島で真っすぐ前に進む姉へ、章さんからの届け物は、母の位牌。「私の家に置いておくより、お姉のそばに置いてあげてほしい」という妹からの手紙には、母が亡くなる数日前に彩さんが日本へ帰ってきたときのことが綴られていた。彩さんは「次はビジネスクラスに乗ってハワイに連れて行ってあげるからと言って別れたんです」と、母との最後の会話を思い返し号泣。そして涙をぬぐいながら、「両親はずっと私のやりたいことをできるように応援してくれてました。これからも、自分たちの夢が実現していくのをそばで見守ってほしい」と家族にメッセージを伝えるのだった。