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#6811月8日(日) 10:25~放送
スリランカ

 今回の配達先は、ルビーやサファイアをはじめ数々の宝石を産出する宝石大国・スリランカ。この地でジュエリーデザイナーに転身した中村瑠衣さん(39)へ、三重県の母・弥生さん(65)の想いを届ける。瑠衣さんはこれまで、ジュエリーやデザインの仕事は全くしていなかったといい、スリランカに渡ったのも2年前。弥生さんは、娘の自由な生き方を認めながらも、「どういうところに住んで、どういう暮らしをしているのか。現地の人や彼氏と上手くやっているのかなというところが心配です」と本音を明かす。
 瑠衣さんが暮らすのは、インド洋に面する南部のビーチリゾート・ウェリガマ。実は瑠衣さんがスリランカにやってきたのは、休暇にサーフィンをするのが目的だった。しかし2020年3月、新型コロナによるロックダウンで出国出来なくなり、そのまま数か月間留まらざるを得ない状況になる。そんな時、ふとした思いつきでジュエリーを作ってみると、人生が一変。瑠衣さんのデザインをたまたま知り合った宝石商が形にしてインスタグラムに載せたところ、その日のうちにオーダーが殺到し、以来わずか2年で世界中に200人もの顧客を抱える人気デザイナーとなったのだ。自身のブランド「Tikiriliya(ティキリリヤ)」で手掛けるのは、顧客が好きな石を選んで作るオーダーメイドジュエリー。ピアスやリングの制作はまず石ありきだといい、インスピレーションで選んだ美しい石をインスタグラムに掲載し、仕入れの段階から顧客に石を公開する。デザインは、自分がかわいいと感じられるかどうか。その感覚だけを頼りに紙にペンを走らせる。提携するジュエリー職人の工房にはこまめに足を運び、イメージ通りに仕上がっているかを確認。さらに制作過程も撮影し、顧客とリアルタイムで共有する。瑠衣さんはそんな独自の手法で、職人や顧客との信頼関係を築いてきた。
 小学1年生の時に両親が離婚し、以来母と2人暮らしだった瑠衣さん。幼い頃から、かわいいものやキラキラしたものが大好きな女の子だったという。大学卒業後、かつて親子旅行で訪れ魅了された香港に移住。タレントやモデル、飲食店経営など、職を転々としながら華やかな生活を送っていた。だが、夢や目標もなく刹那的な日々を過ごすうちに失業してしまう。そんな不安を母に相談すると、「ええんちゃう、寝とれば」という返事が。いつかは状況が変わるから無理に焦ってもしょうがない、という意味の母の言葉に背中を押された瑠衣さんは34歳でタイに移住。そこでサーフィンと出会い、そしてスリランカでジュエリーデザイナーに転身したのだった。ウェリガマのビーチで出会ったサーフィンインストラクターの恋人は15歳年下。将来も考えている彼の実家で過ごす時間も多く、今は「ジュエリーとサーフィンができて、彼氏と彼氏の家族もいて幸せ」と瑠衣さん。母子家庭で育ち、その母とも離れて20年。1人の時間に慣れていたものの彼や家族のおかげで価値観が変化したといい、「ここに自分のお母さんが来てくれたら、一緒に住めたら嬉しい」という願望が芽生えてきたと明かす。
 波に導かれてたどり着いた南国の島で天職を見つけた娘へ、母からの届け物は瑠衣さんが幼い頃、大切な物をしまっていた小さな「宝箱」。中には、母に買ってもらったペンダントやキラキラと輝く石が入っていて、「このキレイな石があなたのジュエリーデザイナーとしての原点だと思います」という母の気持ちが込められていた。好きなものが詰まった懐かしい箱を見た瞬間から涙があふれる瑠衣さん。「“ブレずに行け”ってことですかね」と母の想いを受け止め、そして「私はめちゃくちゃ幸せですし、本当にここにきて良かったと思う。でも、今があるのは、大事なところでお母さんにちゃんと育ててもらったから。本当にありがとうございます」と感謝を伝えるのだった。