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#6566月12日(日) 10:25~放送
沖縄県・西表島

 今回の配達先は、沖縄県の西表島。動物看護師として奮闘する水野早紀さん(32)へ、愛知県で暮らす父・好規さん(65)、母・恭子さん(61)の想いを届ける。恭子さんによると、動物が好きな早紀さんは元々地元で働いていたが、沖縄で野生動物の保護活動を行うNPO団体にどうしても参加したいと、押しかけるような形で移住したという。西表島行きを知った時には「すでに決定事項だったので、『えーっ!』って言っているうちにどんどん引っ越しの用意を始めて、全部手配してしまった」と振り返る。こうして1人で島へ渡った娘を、好規さんも「恋人ができたとかそういう話は聞いたことがないし、何か手伝いをしてくれたり、支えてくれる人はいるのかな…」と心配する。
 2021年に世界自然遺産にも登録された西表島は、島のほとんどが亜熱帯のジャングルに覆われ、島固有の野生動物も数多く生息することから「東洋のガラパゴス」と呼ばれている。早紀さんはそんな島で唯一の動物病院「どうぶつたちの病院西表」に勤務し、院長の獣医師と、もう1人の看護師の女性3人で島中の動物を診察している。ペットだけでなく、特別天然記念物のイリオモテヤマネコをはじめとした野生動物の救護も彼女たちの仕事。西表島の野生動物は交通事故で死んでしまうことも多く、病院には人間の生活圏で怪我をした希少な動物たちも運び込まれる。ほかにも往診や野良猫の不妊化治療、野生にかえれない保護動物たちの世話などもあり、毎日夜遅くまで仕事が続く。疲れて家に帰ると、食事はレトルト中心。「母親から好きな料理のレシピはもらったんですけど、いまだに作ったことがないですね」と苦笑いする。
 動物のほかに家具作りにも興味があった早紀さんは、母の勧めもあって地元から少し離れた工業高校に進学。しかしそこで人間関係の悩みから精神的に不安定になり、引きこもってしまう。そんな様子を両親は何も言わずに見守ってくれていたが、親のためにも次へ進まないといけないと考えた早紀さんは、動物が好きだったことを思い出し動物関係の専門学校へ進学。地元の動物病院で看護師の経験を積んだのち、2年前、現在の病院の母体であるNPOの活動に共感し、野生動物の保護活動ができる西表島にやってきた。辛い時期を乗り越え、たどりついた憧れの仕事。「あの時がなかったら今はないし、性格も全然違っていたと思う」という早紀さんは、「今は人生2回目だと思っているので、生きているだけで楽しい」と語る。
 「自分が立ち直るのにいろんな人に助けてもらったので、逆に困っている人がいたら助けたい」と、西表島で日々動物の治療に奔走する早紀さんへ、両親からの届け物は、早紀さんの大好きな母の手料理。ご飯を作る時間もない多忙な娘に、元気に仕事を頑張ってほしいという願いが込められていた。添えられた手紙には「地元の高校に普通に行っていれば、こんな辛い思いを早紀にさせずにすんだのでは、と後悔していました」と綴られていたが、両親に対しては「感謝しかないし、世界一幸せな家庭に生まれたと思う」と早紀さん。そして、久しぶりに母の作ったご飯を食べ「めっちゃおいしい。いつもの味です」と笑顔になるのだった。