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#6505月1日(日) 10:25~放送
イギリス・ロンドン

 2014年、イギリス・ロンドンで駆け出しのフォトグラファーとして奮闘していたレモン花奈さん(当時23)。イギリス人の父と日本人の母を持つ彼女は、写真の技術を学ぶため15歳で海を渡り、ニュージーランドに留学。ロンドンの大学院でも専門技術を学び、1年前からフリーランスのフォトグラファーとして活動をスタートした。さらに週の半分はロンドンでも有数のフォトスタジオ「ビッグ・スカイ・スタジオ」でアシスタントとして働き、走り回る毎日をおくっていた。
 ビルの中に7つのスタジオを備え、「VOGUE」や「ELLE」などの有名雑誌や、世界的メジャー映画のポスター撮影などが行われるビッグ・スカイ・スタジオ。アシスタントである花奈さんは、機材のセッティングの他にもスタジオの管理やモデルの代役、クライアント用の軽食の準備など、撮影に関するありとあらゆる雑用をこなしている。ある日も有名モデルのプロモーション用の写真撮影があり、朝から準備に追われ館内を駆け回っていた。花奈さんがビッグ・スカイ・スタジオで働き始めたのは、4カ月前。数多くの有名クライアントやトップフォトグラファーと仕事ができるこのスタジオは、フォトグラファーの卵にとって最高の場所。そして撮影以外の雑用であっても1つ1つをこなし、ここでアシスタントとして認められることがプロとして成功する大きな足がかりになるのだという。
 またある日は、フォトグラファーとしてデザイナーからの発注を受け、オートクチュールドレスの撮影へ。ロンドン市内で撮影を終えた後も、自宅で写真の加工作業を行い、色や質感などをパソコンで調整して花奈さんがイメージする作品に近づけていく。「これからはどれだけ自分がユニークか、作品がユニークかが大事になってくる。誰もがフォトグラファーと名乗れる今、どうやって自分が目立って、作品を好きになってもらえるかを研究しながら、自分らしく成功したい」。フォトグラファーとして、アシスタントとして、多忙を極めながらも脇目も振らず夢に向かって走り続ける花奈さんへ、日本の家族からの届け物は梅干し。しかも花奈さんが15歳で日本を飛び出した年に祖母が漬けたものだ。実家の庭で収穫した梅で作るおばあちゃんの梅干しは、一番元気の出る“我が家の味”。懐かしい味に大喜びする花奈さんは、「家族が常に応援してくれるから、自分らしさを保てる気がします」と、改めて家族に感謝するのだった。
 あれから8年。山口智充がロンドンにいる花奈さん(31)とリモート中継をつなぐ。まずカメラの前に披露したのは、花奈さんが作った精巧なミニチュアドールハウス。新型コロナウイルスによるロックダウン中、仕事がまったくない頃に製作を始めたという。SNSで発表するとその反響は大きく、化粧品の広告やファッション雑誌からも依頼が入るように。今では花奈さんのアート作品が商品や誌面を飾っている。また、以前は「ビッグ・スカイ・スタジオ」でアシスタントとして働いていたが、現在はマネージャーに昇格。チームをまとめる重要なポジションに立ち、スタジオになくてはならない存在となっている。一方、フォトグラファーの仕事も続けており、ウェディングやマタニティなど家族の大イベントを記録するような写真を中心に撮影。5年にわたって撮り続け、出産にも立ち会ったというファミリーの写真も紹介する。今後については「アートや写真を通じて人を少しでもハッピーにできたら」と花奈さん。「私は医者ではないし、人の命は救えないけど、ちょっとした人生のハピネスに貢献できたらと思ってやっていきたいです」と夢を語る。