過去の放送

#6361月9日(日) 10:25~放送
アメリカ

 2010年、アメリカで活躍していたプロアングラーの深江真一さん(当時38)。バスフィッシングを極めようと2004年に本場アメリカへ渡り、1年間を通して行われる釣りのトーナメントに参戦。いきなりこの年の年間チャンピオンに輝き、以来7年トッププロとして勝負の世界で生き抜いてきた。生活の拠点は大きなモーターハウスで、妻の美幸さん(当時36)とともに大会ごとに全米各地を移動。取材時は、アメリカのトップランカー78人が集結するチャンピオン大会「フォレスト・ウッド・カップ」に出場するため、ジョージア州の湖レイク・レーニアに滞在していた。優勝賞金は約6000万円というこの大会に向けて5日前から現地入りした真一さんは、釣れるポイントを探るため湖の全域を徹底的にチェックする。
 4日間にわたって行われる大会は、1日に釣ったバスのうち、大きいものから5匹を計量し総重量で競う。バスフィッシングは魚の習性を熟知し、ルアーと呼ばれる疑似餌にいかに食いつかせるかが勝負。そして釣る場所の見極めが重要だという。初日は好調に釣り上げ、結果は19位。トップとの差はわずか2キロ程とまずまずの位置につけた。翌2日目は、上位30人に残らないと3日目の出場権が得られないという厳しい条件が。順位を上げるため「5匹釣るのが最低条件」と真一さんは意気込むが…。今では一握りしかいないトッププロの仲間入りを果たしたものの、将来に何の保証もない賞金暮らし。だが一緒に渡米し、これまで数々の苦難をともに乗り越えてきた美幸さんは「それを分かって嫁に来ていますから。不安に思ったら本人も試合に集中できないので」と意に介さず、さらに「彼は運が強い」と真一さんの勝負運に絶大な信頼を置いている。
 幼稚園のときに父から釣りを教わり、中学時代にはバスフィッシングの大会で何度も優勝を飾った真一さん。高校を卒業して就職するも、バス釣りで食べていこうと2年で退職し、腕を磨くために年間300日滋賀の琵琶湖に通った。その頃から何も言わず見守り続けてくれた両親から、アメリカで勝負する息子への届け物は、真一さんが駆け出しだった頃に釣り新聞の一面を大きく飾った記事。添えられた手紙には「釣りで飯が食えるまでになったことを本当に嬉しく思います」と綴られていた。その想いに、真一さんは「30才手前まで親に甘えていたから、これからはいい形で恩返ししたい。でも挑戦はこの先もあるから、迷惑をかけるかもしれないけど応援してください」とメッセージをおくり、次の大会に向けて再び旅立ったのだった。
 あれから11年。ぐっさんが真一さん、美幸さんとリモート中継をつなぐ。まずは自宅であるモーターハウスを披露。家の幅は広げることができて、ボタン1つで広々としたリビングとキッチンが出現する。一般的な家にある家電は全て完備し、さらには一番後方の壁は90度開いて床となりベランダスペースに。規格外の機能を持つ豪勢なモーターハウスに、ぐっさんもあ然となる。そんな家を拠点にしながら、真一さんは現在、アメリカのバスフィッシングをけん引してきた凄腕が集まる「メジャーリーグフィッシング(MLF)」という団体のトーナメントに参戦中。2021年には80人中19位の成績を残し、悲願だったという2022年3月に開催されるチャンピオンシップの出場権を獲得した。ずっとバスフィッシングを続ける原動力を聞かれると、「単純に釣りが好きということだと思う。これが少しでも欠けたら手を引く時だと思っているし、目をつぶれば釣りのことしか頭にないぐらい」と語る真一さん。その言葉に、美幸さんも「釣りのためにすべてが動いている。私も振り回されています」と笑う。