過去の放送

#6055月9日(日) 10:25~放送
インド

 2014年、インド最北部に位置するラダック地方で夫と旅行代理店を営んでいた上甲紗智さん(当時32)。ヒマラヤの山々に囲まれたラダック地方は極寒の地で、冬場はマイナス20度まで冷え込む事も。その街の中心地に、紗智さんと夫のヤンペルさん(当時35)が経営する旅行代理店「ヒドゥン ヒマラヤ」がある。主力商品は、ヤンペルさんの故郷でもあるラダック地方の秘境「ザンスカール」へのツアー。紗智さんがツアーの手配や経理を担当し、ヤンペルさんがガイドを、もう1人の社員がポーター兼コックを務める。世界中の秘境マニアの聖地として知る人ぞ知る場所だったザンスカールへのツアー客はそれほど多くはなかったが、紗智さんが始めたブログが好評で、日本人客が増え経営も軌道に乗ってきた。長靴などツアーに必要な道具を用意するのも紗智さんの大切な仕事の一つで、事前にツアー客が宿泊するホテルを訪ねて長靴を試着してもらうなど、細やかな気配りが口コミで評判を呼んでいる。
 紗智さんが暮らすのは4LDKの一軒家。長男の創一くん(当時4)、次男の秋生くん(当時1)と家族4人、ずっとアパート暮らしだったが、1年前に念願のマイホームを建てた。しかし生活は日本とまったく違い、不便も多い。冬場は水道管が凍るため、生活用水は汲み上げた地下水を使う。それを電熱器で温めて体を洗うのに使うのだが、たびたび停電になるためお湯にならないことも。また、冬は葉ものの野菜が手に入らなくなるため、夏場に乾燥させた野菜を買って、スープなどに入れて食べるという。
 大学時代にカナダへ留学し、卒業後は秘境ツアー専門の旅行代理店に就職。添乗員としてラダックを訪れたとき、ガイドだったヤンペルさんと運命的に出会い、結婚する。会社を辞め、日本での生活も捨ててこの極寒の秘境で生きていくことを決めた紗智さんは、「初めて夫の実家があるザンスカールへ行ったときは、その素晴らしさに“ここで人生を終えられたら素敵だな”と思いましたが…。まさかここに嫁いで住み着くことになるとは」と振り返る。とても美しく、とても過酷なこの地で家庭を築いて5年が過ぎたが、「私はこの土地が大好きで、この土地の人も私を受け入れてくれている。土地だけじゃなく、夫や夫の親戚、仕事で関わってくれている人たちが、私のことをすごく大事にしてくれる。だから私はここに住んでいる」と語り、充実した毎日を過ごしていた。
 あれから7年。自宅にいる紗智さんとぐっさんが中継をつなぐ。現在ラダックもコロナ禍にあり、観光客が来れないため、紗智さんの旅行代理店も1年以上営業していないという。一方、この7年の間に家族が2人増え、子どもは4人兄弟に。賑やかに暮らしているが、学校もコロナで約1年半休校中。子どもたちのあり余る元気を発散するため、夫のヤンペルさんが庭にスケートリンクを手づくりしたという。気になるのは、そんな6人の生活。昨年までは順調だった仕事がコロナで一切なくなってしまったため、紗智さんはあることを決断したと明かす。今はその特訓中だといい、ぐっさんに「すごい失敗するかもしれないし、大成功するかもしれない」と明るく前向きに語るのだった。