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#5472月16日(日) 10:25~放送
ジャマイカ

 今回の配達先は、カリブ海の小さな島国・ジャマイカ。現地に小学生の塾を作ろうと奮闘する古田優太郎さん(28)へ、神奈川に住む父・勝美さん(61)、母・邦子さん(59)の思いを届ける。優太郎さんがジャマイカへ渡って約2年。邦子さんは「日本で教師を続けてもらいたいという気持ちもあったので、最初は“えっ”と思った」と本音を明かす。一方、勝美さんは「一体何をしているんだか全然知らないので、子どもの相手をしてどんなことをやっているのか見てみたい」と息子の姿を楽しみにする。
 とある日は、首都・キングストンにある私立小学校で子ども達にプログラミングを教えていた優太郎さん。ジャマイカで唯一、小学生にプログラミングを教える会社に勤務し、各地の学校に派遣されているのだ。裕福な家庭では子どもにプログラミングを習わせる親が増えており、会社に所属する7人の先生は毎日フル稼働。優太郎さんも夕方までびっしりと授業の予定が入り、自宅に戻ったのは夜の9時だった。実は、優太郎さんにとってプログラミング講師の仕事はあくまで生計を立てるため。本当の目標は、貧しい子ども達のために塾を作ることだといい、現在はボランティアで算数教室を開いている。ジャマイカでは、貧しい家庭の子は授業料無料の公立小学校に通っているが、教育水準は決して高くはない。だが小学6年生になると、かなり難しいレベルの全国共通テストを受験。そしてこの結果だけで将来が決まってしまうのだ。さらに学校の中でも、いびつな教育システムが教師のレベルを下げ、子ども達は勉強への意欲を失うという負の連鎖が起こっている。優太郎さんは、貧しい地域の生まれでも「もっと勉強がしたい」という子どものことをいつも気に掛け、「教育全部を変えようというのではなく、自分のできることを全力でやりたいと思う。足し算、引き算、掛け算、割り算をしっかりできるような仕組みを作っていきたい」と展望を語る。
 幼い頃から数学が好きで、大学卒業後、念願の数学講師になった優太郎さん。しかし一般社会を全く経験しておらず、世間を知らない自分に自信が持てなかった。そこで24歳の時、休職して自転車で日本一周の旅へ。さらに海外での経験を積むために青年海外協力隊に入り、派遣されたジャマイカで数学の教師になった。ボランティアで開く算数教室で今、試しているのが日本式の数学教育。手作りのそろばんを使って数を数えるトレーニングをしている。「外から来た人だからこそできることがある。正直、10年20年かかる話なんじゃないかと思う」と覚悟しながらも、ジャマイカの教育を変えるための確実な一歩になると手ごたえを感じている。一方で「本当にこのやり方でいいのか」と迷いや不安もあるといい、そんな時に思い出すのは看護師をしている母と、障害者支援をしている父のこと。「父は困っている人を見るとほっとけないタイプの人。尊敬しているし、影響を受けている」と明かす。
 ある日、優太郎さんがやってきたのはジャマイカの教育省。ボランティア教室で行っている日本式の数学教育を国全体で取り入れてもらえないかと提案しに来たのだ。壮大な夢に向かって小さいながらも第一歩を踏み出した息子へ、日本の両親の想いが届く。