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#5452月2日(日) 10:25~放送
スロバキア

 今回の配達先は、スロバキア。寿司職人として奮闘する永澤圭祐さん(28)へ、奈良に住む父・康弘さん(65)、母・みどりさん(55)の思いを届ける。内陸に位置するスロバキアは海がない国。つまり、新鮮な魚が手に入らないという寿司店にとっては致命的ともいえる大きな問題がある。康弘さんは「元々仕入れルートが確保されていることでもないと聞いていたので、行ってルートを探すところから始めたのか…」と状況を心配する。
 おとぎ話のような町並みが残り、観光客でにぎわう首都・ブラチスラバ。街のランドマークであるミハエル門のすぐ近くに圭祐さんが働く店がある。昨年6月にオープンした「江戸前寿司 松木」は、スロバキアで寿司を広めるために日本の企業と現地の飲食店が共同で開業。メインのカウンターも、大きなヒノキの一枚板をわざわざ日本から運んできた。スロバキアで唯一、日本人が握る本格的な寿司店として物価の安いスロバキアの中でも別格の超高級店ながら、クチコミで評判が広まりカウンターはほぼ満員。オープンして半年、着実に客を増やしている。
 圭祐さんの幼い頃からの夢は、プロサッカー選手になること。5歳から地元のサッカーチームに入り、高校時代はサッカーの名門・大阪桐蔭のエースストライカーとして活躍。輝かしい戦績を残し、将来を期待される選手だった。大学卒業後はプロを目指しドイツへ渡るも、そこでぶち当たったのが世界の高く厚い壁。大きな挫折を味わい、プロの夢を断念する。それまでサッカー一筋で生きてきたためやりたいと思う仕事はすぐに見つからなかったが、やがて海外での経験を活かした仕事に就きたいという思いが芽生え、世界で知られる日本食の代表である寿司の専門学校に入学。大阪の寿司店で修業し3年がたった頃、通っていた学校からスロバキアに新しく店を開業するので行ってみないかと声を掛けられた。母のみどりさんに相談すると、「そういう場所で日本の寿司を広めたら、他の人がやっていないことだからかっこいいんじゃない」と背中を押され、渡航を決断した圭祐さん。だが、この地に来て大問題に直面する。スロバキアには海がなく、寿司用の新鮮な魚が全く手に入らなかったのだ。知り合いもいない中、魚料理が評判の飲食店を一軒一軒訪ねて回り仕入れ先を開拓。なんとか開業にこぎつけたものの、当初の寿司ネタはたった8種類しかなかった。
 週に一度は国境を越え、ブラチスラバから車で1時間ほどのオーストリアへ。ヨーロッパ各地の旬の食材が集まる首都・ウィーンの市場まで仕入れに出ている。ある日、探していたのは日本の鯛のような味わいの「レッドマレット」という魚。実はスロバキアで一番有名な飲食店のオーナーの来店を3日後に控え、彼に認められるためにも希少な魚を手に入れようとしていたのだ。苦労の末、わざわざフランスから仕入れたレッドマレット。しかもスロバキア人の好みに合わせて燻製に初挑戦するという。試行錯誤を重ねてようやく完成した圭祐さん渾身の一貫。和食や寿司にも精通する舌の肥えた食のプロの反応は…。厳しい環境でゼロから店造りに取り組み、寿司職人として人生を切り開こうとしている息子へ、日本の両親の想いが届く。