“ぐっさん”こと山口智充が自ら届け物を携え、ジャマイカで奮闘する日本人に会いに行く「地球便SP」。2週目の今回は、首都・キングストンで画家として活動する長瀬玲子さんへ、日本の家族の想いを届ける。
玲子さんがぐっさんを出迎えたのは、工芸品や土産物などを置く小さな店が軒を連ねるクラフトマーケット。この一角に展示されている玲子さんの絵を見たぐっさんは「すごいカラフルですね!」と感嘆する。ジャマイカで感じた強い光と影のコントラストを投影したという独特の色遣いと力強いタッチで描かれた作品。モチーフの多くは、ジャマイカの下町で暮らす人々で、「ゲットー」と呼ばれる貧困地域やスラム街などに足を運んで、その地で生きる住民の姿をカメラに収めて絵にしている。作品は土産物店やギャラリーなどで販売するほか、毎月開催されているアートイベントにも出展。まだまだ危険なイメージの強いキングストンをアートで盛り上げてイメージアップしようと始まったこのイベントでも、ジャマイカの人々が持つ強いインパクトと個性を表現した玲子さんの絵は、見る人の心を捉えている。
そんな玲子さんに連れられて、ぐっさんが訪ねたのはキングストンの町から車で1時間ほどの場所にある山の中の小学校。玲子さんは過疎地やゲットーなどアートの授業がない小学校に出向き、授業をするボランティア活動を行っているのだ。子ども達は初めて触る絵の具に興味津々。クラスメートの顔を描くという玲子さんの授業に、ぐっさんも参加させてもらう。さらに小学校から、看板になるような大きな絵を一緒に書いてほしいと依頼され、すっかり生徒達と打ち解けたぐっさんもお手伝いすることに。完成したのは、子どもの手形に囲まれたカラフルなジャマイカの国の絵。ぐっさんが描いた太陽が明るく照らす。
玲子さんがこの地に渡ったのは30年前。きっかけは、当時興味のあったレゲエの発祥の国であるジャマイカへ旅行で来たこと。日本での生活に息苦しさを感じていた中、人々の自由な生き方と居心地のいい街の雰囲気にたちまちとりこになったという。服飾デザイナーとして働く充実した生活を捨て、仕事はおろか住む場所もろくに決めずにジャマイカへ。家族の猛反対を受けながら家出同然で飛び出したが、そんな中でただ一人玲子さんを応援してくれたのが父の弟にあたる叔父・千年さんだった。
ジャマイカでは目に映るものすべてが新鮮で魅力的に感じ、その風景を描きたいと思った玲子さん。そこで日本にいたころから好きだった絵を再び描き始め、絵で食べていくことを決意した。キングストンの中心からほど近い自宅のアパートを訪ねたぐっさんは、今の生活について質問。玲子さんは「充実してます。学校に行ってボランティアで子ども達と触れ合う余裕もできた」と話すが、ただ日本で暮らす両親のことだけは心配だという。日本を飛び出して30年。何のあてもなくやってきたジャマイカで自分の居場所を見つけた玲子さんへ、ぐっさんが日本の家族と彼女をつなぐ叔父の想いを届ける。