過去の放送

#5176月16日(日)10:25~放送
アメリカ・ハワイ島

 今回の配達先は、アメリカ・ハワイ諸島最大の島、ハワイ島。天文学者として奮闘する越田進太郎さん(40)へ、父・進さん(68)、母・秋美さん(67)の思いを届ける。
 進太郎さんが働くのは、世界最高峰の天体望遠鏡「すばる」を有する日本の国立天文台ハワイ観測所。街にある施設から1時間半、標高4207メートルに達するハワイ最高峰マウナ・ケア山頂は、北半球の全天と南半球の90%の天体を観測することができる世界で最も天体観測に適した場所。世界各国の天文台が立ち並ぶが、中でもすばる望遠鏡は日本の技術を集めて作った最先端の天体望遠鏡だ。直径8.2メートルもの巨大な鏡に夜空をうつし、超高感度のカメラで肉眼では見えない微量な星の光をとらえて130億光年先まで見ることが可能。圧倒的な視野の広さと高い解像力を持ち、世界中の研究者から使用を求められている。そんな天文学者憧れの場所で進太郎さんは宇宙の構造を研究し、生命誕生という大いなる謎の解明に挑む。
 母の秋美さんがロケット発射場のあることで有名な鹿児島県の種子島出身で、幼い頃から宇宙に繋がるものが身近にあった進太郎さん。自然と星の世界に引き込まれ、夜遅くまで夢中で星を眺める少年だったという。秋美さんは「種子島は真っ暗闇を見上げると満天の星があって、そこに感動したのかな」と懐かしむ。また父の進さんは、「彼は昔から生真面目で忍耐強くて、黙ってコツコツと自分のやりたいことを積み上げていく性格。なので、やりたいことはやれと言っていた」と明かす。こうして東京大学大学院に進んだ進太郎さんは、研究者となって南米チリの観測所に赴任。5年前にハワイへ渡った。
 すばる望遠鏡のあるマウナ・ケア山頂の酸素濃度は地上の60%、気温は夏でも氷点下になることもある過酷な環境だ。そんな中、進太郎さんは観測室でひたすらデータを収集。夜を徹した作業が1週間以上続くこともあるという。天文学は他の研究とは違って手に取ることも実験をすることもできない、一方的に夜空から送られてくる情報を集めて解明していくしかない息の長い活動で、「自分が作り上げた一つの成果が、大きな科学というパズルの1ピースとして残すことができたら」との思いで進太郎さんは地道に研究を重ねる。だが一方で、今就いている職には3年という雇用期限があり、安定しない生活には不安も…。「宇宙っていうのは、新しいことがわかってもどんどんわからないことも増えていくし、いくらすばるのような大きい望遠鏡で観測しても謎は残っている。70、80歳まで研究を続けられるかわからないけど、星を眺めるようなことはずっとやっていくと思う」と、モチベーションを失うことなく前を向く進太郎さん。星空に魅せられ、厳しい現実に直面しても生涯研究者として宇宙の謎に挑むことを心に誓う息子へ、両親が届ける想いとは。