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#5125月12日(日)10:25~放送
スペイン・バルセロナ

 今回の配達先はスペイン。バルセロナでスペイン料理店を営むシェフの宮崎健太さん(37)へ、高知に住む父・重雄さん(68)、母・千鶴美さん(67)の思いを届ける。健太さんについて「昔から、とことんまでやるところがあった。適当に合わせるということが難しいのかも」と話す千鶴美さん。重雄さんは、「口に出して言ってはいないが、心配している。住む場所や店の雰囲気はどうなのか…」と息子の様子を案じる。
 世界中から観光客が訪れるスペイン第2の都市・バルセロナ。19世紀の建築家・ガウディの作品など世界遺産が点在するそのちょうど狭間、地元の人だけが暮らす街の一角に健太さんの店がある。健太さんが手掛けるのは、スペイン伝統の郷土料理。スペインには各地方に独自の調理方法があり、かつてマドリードで修業を積んだ健太さんは、さまざまな素材や手法を学んできた。食材はすべて地元のもの。パエリアをはじめ料理全般に用いるダシを、目の前の地中海で獲れた新鮮な魚から取るなど、古くから伝わる調理法で時間も手間も惜しまず仕上げる。「本来の食べ方、本来のスタイルの料理を提供してみたかった」というこだわりの甲斐もあって、健太さんの腕は舌の肥えたスペイン人も唸らせている。オープンからわずか1年ほどながら店は地元客で連日盛況。当初は妻のねおみさん(41)と2人で切り盛りし、早朝から深夜まで働き通しだったが、今では人を雇う余裕も出てきた。
 地元・高知の町では評判の悪ガキだったという健太さん。15歳の時に京都でタイル職人になるも、「このままでいいのだろうか」ともやもやしていたところ、中学時代の恩師に勧められ料理の道へ進むことに。そして東京の日本料理店で修業を重ね3年が過ぎた頃、転機が訪れる。たまたま手に取った雑誌でスペイン料理を目にしたことをきっかけに、初めて海を渡り言葉もわからないままマドリードへ。そこで立ち寄ったレストランで食べた郷土料理のハチノスの煮込みに衝撃を受ける。「この人の料理を覚えたい」と、健太さんは頼み込んでレストランの見習いとなり、6年間無我夢中になって修業。そして日本に戻り、30歳で東京の代官山にスペイン料理店をオープンする。大工の父が作ってくれたカウンターやテーブルなど、親子で開業準備をした店は大繁盛。だが5年が経ち、絶頂とも言える最中に健太さんは「本場で勝負したい」とバルセロナ行きを決意したのだった。
 市場に赴いて食材を見極め、思いを込めた一皿で客をもてなす。さらに忙しい仕事の合間を縫っては、知識を吸収するため料理にまつわる専門店を巡るなど絶えず新しいことにも挑戦する。「行き着く方向はまだわからないけど、今はこれが一番良いと思っていることをやっている」と前を見る健太さん。大好きな道を信じて突っ走り本場で奮闘する息子へ、日本の家族が届ける思いとは。