過去の放送

#5094月14日(日)10:25~放送
アメリカ・シアトル

 今回の配達先はアメリカ。シアトルで家具修復師として奮闘するフレンチ由紀さん(44)へ、大阪に住む父・俊紀さん(78)、義母・正子さん(73)の思いを届ける。
 由紀さんが扱うのは、ミッドセンチュリーと呼ばれる1940年代から60年代に作られたヴィンテージ家具。イームズ、ハンスウェグナーなど有名デザイナーによって生み出された名作デザインと当時の上質な木材を使った、今では作れない希少価値の高い家具をよみがえらせて、さらにもう100年使えるよう新たな命を吹き込んでいる。アメリカ北西部の大都市・シアトルは北欧からの移民が多いため上質な家具が今も残されており、由紀さんはそんな古い家具を仕入れて自宅の裏に建てたスタジオで作業する。さまざまな技を使って天板に付いたシミを1週間ほどかけてきれいに取り除くと、家具には60年前の美しさが。かつて、シアトルに来て捨てられそうになっていた家具を見たことから「直したい」と思い、修復を始めた由紀さん。独学で家具を解体して構造を研究し、職人を訪ねて教えを乞うなど努力を重ね、腕を磨き続けてきた。修復した家具はネットショップで販売。立ち上げから6年、丁寧な仕事ぶりが評価され売り上げを伸ばしているが、「愛着のある家具が売れると複雑な気持ちで悲しくなるんです。お嫁に出すような感じ」との思いもあるとか。
 由紀さんが海を渡ったきっかけは、13歳のときに亡くなった母との約束だった。病気が治ったら海外に行きたいと言っていた母。その思いを継いで、自分が行くしかないと由紀さんは英語の勉強を始める。こうして前を向きながらも、母を失った悲しみが消えない由紀さんを支えていてくれたのが、現在は父と再婚し義理の母となった正子さんだった。その後、由紀さんは通っていた英会話学校で講師をしていたウィリアムさんと出会うが、父が交際に猛反対。ウィリアムさんは交際を認めてもらうため、講師の仕事を辞め医者になることを決意する。そして由紀さんが23歳の時に2人は結婚し、渡米。医学部に入った夫が勉強に没頭する一方、由紀さんは家計を支えるため仕事に就き、慣れない英語での生活や仕事のプレッシャーに心が疲れふさぎ込む毎日をおくっていた。そんな頃、正子さんと俊紀さんが由紀さんの様子を見にアメリカを訪問。由紀さんは、正子さんが作ってくれた美味しい料理と、一緒に楽しんだガーデニングのおかげで落ち込んだ気持ちが癒され、徐々に立ち直ることができたのだという。当時のことを振り返って、正子さんは「心をほぐすにはそんなことしかできなかった」と話し、父の俊紀さんは「前向きに協力してくれて助かりました」と正子さんの支えに感謝する。
 日本を出て20年。ウィリアムさんは小児科の医師となり、2人の子どもにも恵まれた。亡き母が行きたいと願った海の向こうで充実した毎日をおくり、大好きな家具修復に打ち込む由紀さんの元へ、日本の家族の思いが届く。