今回の配達先はカナダ。世界有数のアイスホッケー大国で、アイスホッケー選手としてプロを目指し奮闘する小川大和さん(19)へ、栃木に住む父・達也さん(46)の思いを届ける。
大和さんは現在、スミススフォールズという人口9000人ほどののどかな田舎町にあるジュニアリーグのチーム「スミススフォールズ・セトラーズ」に所属している。北米には60以上のジュニアリーグがあり、ここで頭角を現し注目された選手がNHLをはじめとするプロリーグで活躍することができるのだ。ポジションはゴールキーパーで、チームには3人のキーパーがいる中、周りの選手に比べると身長175cm、体重70kgと小柄な体格の大和さん。プロリーグへと上がるため、まずは正キーパーとなることが目標だが、シーズン前半で良い結果を出さなければレギュラーの座を獲得することはできない。ひとつでも多くのシュートを阻止するべく、課題でもあるキャッチングの練習を繰り返す。そんな大和さんにチームの監督も、「動き自体はいい。彼にはうちのNo.1キーパーになってほしい」と期待を寄せる。
大和さんは幼い頃、家族で一緒に見た試合がきっかけで、アイスホッケーに魅了されたという。小学校4年生の時に両親が離婚し、父と2人になってからは、本格的に競技に打ち込むため環境の整う栃木県の日光へ引っ越した。父は安定した仕事を辞め、アイスホッケー関係の仕事に転職。自らの人生を息子の夢にかけたのだった。早朝練習や食事のサポートなど二人三脚の生活は中学卒業まで続き、プロになることを決意した大和さんは高校を1カ月で辞め、15歳でカナダへと渡った。ジュニアリーグには給料制度がなく、生活費から防具代まですべて自腹。大和さんは現状、父からの仕送りに頼っている。カナダへ来て5年。19歳になった大和さんは、「日本では二十歳が成人。父親にも5年間サポートしてもらっているので、来年こそは自分の力でプロへの道を切り開けたら」と、強い決意を胸に勝負の一戦に挑む。
バスに3時間揺られた遠征先での対戦相手は、前回大差で負けた強豪チーム「マニワキ・マスタングス」。大和さんはスタメンに選ばれる。優秀なキーパーのゴール阻止率は90%以上と言われ、より多くのシュートを止め、チームを勝利に導くことがプロへの大きな足掛かりとなる。さらにスミススフォールズ・セトラーズも開幕から3連敗中。何としてでも結果を残したい戦いの行方は…。
大和さんの様子を見た父の達也さんは「試合の映像を見て、昔みたいに胃が痛くなるような思い」と苦笑いしながらも「自分の考えもしっかり持つようになってきているし、やるべきことが自分で理解できるようになったように思う」と息子の成長を語る。親子の夢をかけて必死に戦い、目標に向かって一歩一歩前へ進む大和さんへ、父の想いが届く。