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#4849月30日(日)10:25~放送
カナダ

 今回の配達先はカナダ。恐竜の研究員として奮闘する宮下哲人さん(32)へ、東京都に住む父の純一さん(59)と母・かなえさん(56)の思いを届ける。日本の国土のおよそ1.8倍という広大な面積を誇るアルバータ州は、世界で最も多く恐竜の化石が発掘された地として知られ、哲人さんは地元のアルバータ大学で古生物学博士として恐竜の研究をしている。世界遺産にも登録されている「恐竜州立公園」を訪れ、発掘調査を行う哲人さん。広大な公園には7400万年前の地層が露出していて、至る場所に化石が顔を出す。哲人さんが研究テーマのメインにしている「ダスプレトサウルス」はティラノサウルス以前に存在した大型の肉食恐竜で、生態はいまだ謎に包まれたまま。ダスプレトサウルスの希少な化石に出合うため、哲人さんは荒涼とした大地を何時間も歩き続け、腹ばいになって乾いた土を掘り起こす。
 哲人さんは、16歳の時に単身カナダへやってきた。きっかけは10歳のクリスマスに両親からプレゼントされた恐竜の本。父の純一さんは、「小さい時から恐竜が好きで、国内を旅行しても、地層があるとトンカチでひっかいてみたりするような子だった」と振り返る。本を買った母のかなえさんは、「コンパクトなサイズと赤い表紙がいいかなと…」と軽い気持ちで選んだというが、たちまち本の世界に魅了された哲人さんは、著者である恐竜研究者、フィリップ・カリー博士に少しでも近づきたいと、14歳から習いたての英語で博士と文通を開始。やがて「一緒に研究をしたい」との思いが募った哲人さんはいてもたってもいられなくなり、高校を辞めて博士がいるカナダへ渡ったのだった。
 哲人さんは、親代わりともいえるカリー博士の自宅で同居しながら研究を続け、私生活では大学の同僚だったキジアさんと結婚、今年男の子も生まれた。憧れの博士と家族に囲まれながら、発掘や調査に打ち込む充実した生活。しかし9年前、研究者としてこれからという時期に、哲人さんは消化器官に炎症ができるという、治癒方法が見つかっていない難病「クローン病」を突然発症する…。思うように食べることができなくなり、体重は激減。急遽日本に帰国し、半年間の療養生活を余儀なくされた。その間は母が工夫して作った体に優しい食事をとり、状態が落ち着いた今でも食べ物に気を付けながら生活しているという。
 そんな哲人さんは今年、アメリカ・シカゴ大学の研究員として採用されることが決まり、16歳から過ごしたカナダ、そして恩師の元を離れることになった。“卒業”を控え、博士から引き継いだダスプレトサウルスの研究について、論文を書き上げることで博士に成長した姿を見せたいと哲人さんは改めて誓う。1冊の恐竜本に導かれ、日本を飛び出して16年。病を抱えながらも恐竜研究に没頭し、今再び新たな世界へ旅立つ哲人さんへ届け物が。それは、遠い日本で息子を応援しながらも体を心配する母の気持ち。哲人さんは、届け物からあふれるメッセージをしっかりと受けとめていた…