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#4634月8日(日)10:25~放送
オーストラリア・タスマニア

 今回の配達先はオーストラリア南東に位置する島、タスマニア。この地で調教師兼ジョッキーとして奮闘する西谷泰宏さん(36)と、兵庫県に住む父・博行さん(71)、母・美恵子さん(70)をつなぐ。2年前に調教師となり、貯金をはたいて自らの厩舎を立ち上げた泰宏さん。両親は「日本で地道にサラリーマンをしてほしかった。厩舎の立ち上げは事後報告。調教師など本当にやっていけるのか不安で…」と、競走馬に夢を託す泰宏さんの将来を案じている。
 タスマニアにあるロングフォード競馬場の一角に間借りした厩舎で、5頭の競走馬を育て、調教している泰宏さん。明後日に迫ったレースには、彼の厩舎に所属する2頭の競走馬が出走を予定している。そのうちの一頭、“ラッキー”の愛称で呼ばれる馬に、泰宏さんは並々ならぬ思いを寄せている。
 臆病な性格が災いし、以前の馬主に「バッドラック」と名づけられ、競走馬としては失格の烙印を押されていたこの馬を、泰宏さんがタダ同然で引き取った。未だレースデビューできていない“ラッキー”を、なんとかレースで勝たせてやりたいと調教を続けてきたのだ。「心拍数とか、元々いいものを持っている馬。やればできるはず」と、泰宏さんは大きな期待を寄せ、家族同然に心を尽くして育てている。
 競馬好きの父の影響で、馬に関わる仕事をしたいと考えていた泰宏さんだったが、両親の願いもあり大学へ。しかし、どうしても馬への思いを断ち切ることができず、大学を中退。両親を説得し、21歳でオーストラリアの競馬学校に留学した。そして猛勉強の末、調教師のライセンスを取得した矢先、泰宏さんはその高い身体能力を見込まれ、ジョッキーとしてスカウトされたのだ。
 「ジョッキーを経験してから調教師になる方が、視野が広がるんじゃないか」。そう考えて26歳の時、オーストラリアでジョッキーとしてデビュー。10年間で60勝をあげた。そして2016年、現役ジョッキーと調教師を兼ねることが解禁されたことから、念願だった調教師の道を歩み始めたのだ。
 家庭では妻の彩乃さん(35)、一人娘の光姫ちゃん(6)との3人暮らし。調教師の収入はレース賞金の10%だが、泰宏さんは未だ1勝しかしておらず、人を雇う余裕はない。そのため彩乃さんも厩務員の資格を取得し、夫婦二人三脚でなんとか切り盛りしている状況だ。
 デビュー戦に向けてラッキーの調教に熱が入る泰宏さんは、今回のレースが、調教師として自分の成長を測る試金石になると考えている。その先には一つの大きな目標が…。「メルボルン・カップ(G1)を獲りたい。人は夢だと思うだろうけど、本気でそこを目指して頑張っていることを知ってもらいたい」と泰宏さんは語る。
 レースを前に控えた泰宏さんに、日本の両親から届け物が…息子と家族の今後を願う思いが、そこにはあった。大切に育てられた記憶が蘇る泰宏さんの胸に去来したものとは。そして、皆の想いを乗せてデビュー戦に挑んだラッキーの、激走の結果は?