今回の配達先はインドネシアのニアス島。良い波が押し寄せ、世界中のサーファーが憧れる島としても知られるこの島に暮らす中村美紀さん(43)と、日本に住む父・勉さん(69)、母・由紀子さん(67)をつなぐ。ニアス島出身の男性と結婚して、日本で3人の子どもを出産し、4年前に一家で移住した美紀さん。両親は「結婚は事後報告でした。突然、“結婚したよ”って結婚式で撮ったVTRを見せられて…。認めないわけにはいかなかった」といい、「今はどんな島に住んで、どんな生活をしているのかもわからない」と心配している。
現在、一家は夫・サノーラさん(40)の実家で義父母と同居。子どもは10歳の長男、8歳の次男、5歳長女の3人で、美紀さんは子育てに炊事、掃除、洗濯と、家事のすべてを一手に担っている。住所は大まかな表示しかなく、携帯電話もつながらないというニアス島。一家が住む家に水道はなく、生活用水は屋根から集めた雨水や井戸水。食器を洗うのはトイレと一緒になった洗い場だ。雨が降らない日が続くと、美紀さんがバイクで隣村の水汲み場まで水を汲みに何度も往復する。日本では考えられない不便な生活だが、美紀さんはそんな苦労も明るく笑い飛ばし、たくましく家庭を切り盛りしている。
大学卒業後、日本で働きながら、趣味のサーフィンをするために世界中を旅していた美紀さんは、バリ島でサーフィンのインストラクターをしていたサノーラさんと出会い、3か月の交際を経て結婚した。「いつかは夫の故郷に移住したいと思っていた」という美紀さん。ゆったりとした時間の中で大好きなサーフィンが出来るニアス島は、彼女にとって最高の環境なのだ。島に移住しておよそ4年。今では知り合いも増え、すっかり島に溶け込んでいる。みんなが助け合って生きるこの島は「一生住みたい場所」だという。
実は、美紀さん夫婦は、子どもたちと家族5人だけで暮らす新居を建て始めていたのだが、工事は建築途中でストップしたまま。島に移住して間もなく、安定した収入を得るためにサノーラさんは養鶏場を始めたのだが、鳥が疫病にかかってしまい、ほぼ壊滅状態に。残ったのは多額の借金だけだった。平均月収が約3万円というインドネシアでは返済が難しく、サノーラさんはもう2年も日本に出稼ぎに行っており、離ればなれの生活が続いている。
それでも、両親に頼ることは絶対にしたくないという美紀さん。実は、借金を背負ったのとほぼ同じ頃、美紀さんの母にがんが見つかり、両親も苦境に立ち向かっていたのだ。美紀さん自身も、去年から借金返済のために新たに始めたことがある。インドネシアで流行り始めている日本の「たこ焼き」にビジネスチャンスを感じ、島で知り合った日本人経営者と共に、昨年5月に店をオープンさせたのだ。
一刻も早く借金を返済してマイホームを完成させ、家族一緒に暮らせる日が来ることを心の支えにして頑張る美紀さん。そんな娘に両親から届けられたのは、彼女を励ます手作りのある品。遠く離れてしまった娘や孫たちを心配する両親に、美紀さんが語った思いとは…。