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#4541月28日(日)10:25~放送
アメリカ・ニューヨーク

 今回の配達先は、最新ファッショントレンドを発信する街、アメリカ・ニューヨーク。ここでファッションデザイナーを目指す美術大学生の小西翔さん(26)と、日本に住む父・誠さん(52)、母・小百合さん(53)をつなぐ。現在はニューヨークにある「パーソンズ美術大学」で学ぶ翔さん。父は「最初、学費だけで2年間1000万円。生活費も合わせると2000万円もかかるといわれた。普通の会社員なので、すぐに賛成はできなかったが、息子の強い決意と覚悟に、それならば行かせてやろうと…」と、当時の葛藤を明かす。
 パーソンズ美術大学は、ファッションデザイナーのアナスイやマークジェイコブスなどの有名デザイナーを数多く輩出している世界最高峰の美術大学。翔さんが所属している2年制のファッションデザイン社会学科では、世界10カ国から集まったデザイナーの卵たち18名が学んでいる。ここではデザインに対するコンセプト作りからビジネスモデルまでを幅広く学び、卒業後すぐに活躍できるよう、さまざまなカリキュラムが組まれている。これまでは、まずデザイン画を描いて制作するのが当たり前だったという翔さん。ここでは、あえてデザイン画を描かず、サンプルをいくつも作りながら形にしていくやり方を学んでいる。今は、刑務所に通って受刑者の話を聞き、そこからインスピレーションを得て、メンズコレクションを制作しているところだという。
 高校卒業後、東京のファッション系専門学校に入学し、学内外のコンテストで賞を総なめにした翔さん。その実績から奨学金留学の権利を獲得し、首席で卒業した。翔さんは、かねてから憧れていた「パーソンズ」を目指し、まずはニューヨークの予備校に1年間通い、その後パリのデザイン学校にも奨学金を受けながら1年間留学。今年、満を持してパーソンズへの入学が叶った。
 2年間の修業期間、英語とデザインを学びながら作品を作り続けてきた実績が評価され、パーソンズの入学資格を得た日本人の中から1年に1人だけ選ばれる特別な奨学金も見事に獲得。両親は学費を準備する覚悟をしていたそうだが、結局、翔さんは一切の負担をかけることなく、自力で夢へのスタートを切ったのだ。
 パーソンズに入学して2カ月半。自腹で準備しなければならない生地などの材料費をねん出するためにも、節約生活を送りながら、意欲的に作品を作り続ける翔さん。この学校で学び始めて、改めてファッションの深さや可能性を感じているところだという。これからはデザイナーという形式にこだわらず、ファッションに関わる興味のあることすべてを貪欲に学んでいきたいという。
 そんな翔さんに日本の両親から届けられたのは、故郷高知の地酒「栗焼酎」。お酒好きの父と子は、普段からよく酒を酌み交わしていたというが、口数の少ない父は、自分の思いをはっきりと息子に伝えたことはなかったという。そんな父からのメッセージには、経済的な理由で一度は留学を諦めさせようとしてしまった時の葛藤や、奨学金を勝ち取って前へ進もうとする翔さんへの驚きと敬意の念が綴られていた。そして最後には「一緒においしい酒が飲める日を楽しみにしています」とメッセージが…。懐かしい栗焼酎を味わった翔さんは、しみじみと「父親を感じます」とつぶやき、父の思いを噛みしめながら、成功を胸に誓うのだった。