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#4521月14日(日)10:25~放送
グッと!地球便inラスベガスSP アメリカンドリームをつかんだ女性たち

 アメリカ・ラスベガスで格闘技のインストラクターとして活躍する鷲山陛子さん(45)と、日本の父・浩一さん(74)、母・久子さん(72)をつなぐ。ラスベガス郊外に構えたジムで陛子さんが指導しているのは総合格闘技。共に指導に当たるのは、空手の世界チャンピオンである韓国系アメリカ人の夫・ケンさん(46)だ。陛子さんたちが教えるのは、主にプロの格闘家や警察官、ムエタイの世界チャンピオンなど屈強な男たち。小柄な陛子さんが指導する姿に、山口智充は驚かされる。陛子さんに勧められ、山口もグローブをつけ、彼女の指導を受けながら初キックボクシングを体験することに。すぐにコツを飲み込む器用な山口に、陛子さんは「すごい。巧い!」と感心する。格闘技指導のほかに、格闘技を応用した護身術の指導にも力を入れており、“自分の身は自分で守りたい”というセレブや女性、子供たちが多く通っているという。
 幼い頃から、柔道をやっていた父の手ほどきを受けていたという陛子さん。15歳からは空手も習い始め、大学卒業後、留学先のアメリカで“実力を試したい”と空手道場へ。だが、無差別級だったため、体重50kgほどの陛子さんが対戦するのは100kg以上の相手ばかり。同じ技術があっても体力差で負ける悔しさから、“本格的に格闘技を極めよう”と、格闘家として生きることを決意したという。
 だが、両親はそんな危険な道を進むことに大反対。父は「しっかりしていても女の子。手放したくなかった」といい、今も帰国を願い続けている。だが、陛子さんは両親の反対を押し切って、格闘技最先端の街・ラスベガスへ。体の大きなアメリカの選手と戦うため、スピードとテクニックを駆使する独自のスタイルを編み出し、29歳の時には空手の北米大会で優勝。数々の輝かしい成績を収めた。34歳で現役を引退後は指導者の道へ。すると、多くの男性格闘家が“彼女の格闘スタイルを身につけたい”と、陛子さんの道場へ。一躍人気のインストラクターとなり、これまで数々の格闘家チャンピオンを輩出してきた。
 陛子さんは格闘技や護身術を教えるだけでなく、銃のインストラクターの資格も取得。今では地元警察官に、格闘技と共に銃の講習会も行うスペシャリストとなった。ジムの教え子には昨年10月ラスベガスで起こった銃乱射事件の現場に居合わせた女性もいる。民間人の銃保有数が人口100人あたり約88丁というアメリカ。陛子さんは「この国ではいい人も悪い人もみんな銃を持てる。ならば、いい人も銃の練習をしておく必要がある」という。“自分の身は自分で守る”、これが銃社会アメリカの現実なのだ。
 日本を離れて25年。銃社会アメリカで、格闘技一筋に生きてきた陛子さん。山口が「帰国を望んでいる日本のご両親についてはどう思っている?」と尋ねると、「ふたりとも70歳を超え、体も弱って来たので心配。でもそんな話をすると、すぐに帰って来いといわれてしまうので、なかなか言えない」と、複雑な思いを明かす。
 そんな陛子さんへ、今回、山口が日本の両親から預かって来たお届けものは1枚のDVD。そこには、陛子さんが渡米前に行ったカナダへの家族旅行の映像が収められていた。家族全員が最後に揃った懐かしい映像だった。添えられていた父の手紙につづられていた言葉は、娘をいつまでも愛する親の想いだった…