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#44010月8日(日)10:25~放送
イタリア・ミラノ

 今回の配達先はイタリア・ミラノ。オペラ歌手として奮闘する橋本さやかさん(35)と、神奈川県に住む父・正雄さん(65)、母・郁子さん(61)をつなぐ。東大卒業後、大手外資系企業に入社したものの、仕事をやめ、31歳の時にオペラ歌手を目指してミラノに渡ったさやかさん。両親は「娘には結婚して、子供を持ってほしかったのですが…。今はオペラ歌手として成功しているとは思えない。そろそろ、いい加減にしてはどうか」と、日本に戻ってくることを願っている。
 プロの歌手が多く通う音楽アカデミーで歌の技術を磨きながら、さまざまなオーディションを受け続けているさやかさん。物語を歌で伝えるオペラは、歌の技術だけでなく、より豊かな感情表現が求められるが、さやかさんにとってはそれが一番難しく、大きな課題だという。
 高校の時、聖歌隊に入ったことがきっかけで歌にのめり込み、プロのオペラ歌手を目指すようになった。しかし、自信を持って臨んだ音楽大学の受験は、まさかの不合格。ショックのあまり、それ以来歌を封印したさやかさんは、歌への情熱を勉強に向け、なんと東京大学に進学したのだ。
 その後、大手外資系企業に入社したが、オペラ歌手の夢を諦めきれず、3年半で退社。エリートコースの人生を投げ捨てて、28歳の時にニューヨークへ音楽留学。さらに31歳の時、本場のオペラに触れたいと、ミラノへと渡ったのだ。
日本を飛び出して7年。どれだけ生活が苦しくても、両親に援助を求めたことはないという。さやかさんは「私の歳である程度成功していなかったら、普通は辞めている。私もこの1年が勝負だと思っている」と、覚悟を語る。
 そんなさやかさんが、大一番ともいえるオーディションに挑むことになった。以前から出演を熱望していた「愛の妙薬」という、19世紀スペインの恋模様を題材にした2時間のオペラ喜劇だ。このオーディションは5日間に渡って選考が行われる。参加者が実際に「愛の妙薬」を演じ、その場で演出家から指導を受け、最終的にその役を演じる1人が選ばれるのだ。さやかさんはヒロイン役に応募し、3か月かけてすべての楽譜を覚えたという。果たして、5日間に渡るオーディションの結果は…?
 オペラ歌手として広く名前を知られるようになることを夢見て、日々もがき続けるさやかさんに、日本の父から届けられたのは2本のビデオテープ。そこに収められていたのは、歌にのめり込んでいた高校時代の発表会の映像で、父が撮影したものだという。添えられていた手紙には、「自分の道を自分で切り開こうとするさやかは父の誇り」「輝いていた時を思い出し、もうひと踏ん張りし、目標を達成してください。ただし1年程度が目安やで!」と綴られていた。さやかさんは父の応援に、「親不孝な娘で申し訳ないと思っている」と涙を浮かべつつ、「もう少し見守っていてほしい」と、語りかけるのだった。