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#4164月2日(日)10:25~放送
イタリア・フィレンツェ

 今回の配達先は、さまざまなモノ作りが盛んな職人の街、イタリアのフィレンツェ。ジュエリー職人として奮闘する中島薫子さん(44)と、鳥取県米子市で実家の老舗旅館を継ぐ兄・太郎さん(53)、義姉・美水さん(48)をつなぐ。28歳の時、日本を飛び出しフィレンツェに渡った薫子さん。兄は「そもそも何でイタリアだったのか。彼女の人生を思い返しても、ジュエリー職人になるような片鱗は思い浮かばない」と不思議がる。
 フィレンツェで自身のジュエリーブランドを立ち上げて5年。彼女が手掛けるジュエリーは主にシルバーを使ったもので、現代的なデザインがとても魅力的だ。価格はひとつ2~3万円ほど。年間100個ほどを制作し、インターネットや展示会で販売しているという。薫子さんが作品を制作する“工房”は、語学教師の夫・ロレンツォさん(43)や、11歳と5歳の娘たちと暮らす自宅ダイニングの一角。自身のブランドを立ち上げたとはいえ、まだまだ駆け出しで、今もフィレンツェで指折りのジュエリー職人といわれる師匠、アレッサンドロ・バレッリーニさんの工房で働き、腕を磨いている。
 ジュエリー職人として、主婦として、多忙ながらも充実した毎日を送る薫子さんだが、幼い頃にはこんな人生を想像もしていなかったという。本来、旅館は娘が継ぐもの。薫子さんもそう考え、小さい頃から自分の夢など抱いたこともなかったという。しかし、旅館の手伝いをしていた28歳の時に大きな転機が訪れる。兄が結婚し、義姉が旅館を手伝ってくれることになったのだ。「正直ちょっとホッとした。私はここから出てもいいのかな、と。兄が結婚した相手が違っていたら、また違った人生だったかもしれない。義姉には感謝している」と薫子さんはいう。兄夫婦のお陰でもらった第二の人生。薫子さんは「やってみたかったことをやろう」と、イタリア行きを決めたのだ。
 フィレンツェの彫金学校に留学し、2年の勉強を終えた薫子さんが働き先を探していた時、出会ったのが師匠・アレッサンドロさんの作品だった。「クラシックなものが多いフィレンツェにあって、彼のモダンなデザインにすごく惹かれた。」最初は職人を目指していたわけではなかったが、“アレッサンドロさんのような作品を作りたい”という思いが、彼女を職人の道に駆り立てたのだ。
 念願だったブランドを立ち上げて5年。薫子さんは自身のジュエリーに新たな表現方法を取り入れようと、伝統の“フィレンツェ彫り”を学び始め、さらなる高みを目指そうとしている。そんな薫子さんに兄から届けられたのは、旅館の名物「かに」。異国の地で頑張る妹が、ほんのひと時でも安らげるようにと贈った故郷の味だ。家族と共に懐かしく味わった薫子さんは、「子供のころから大好きだった味です。まさかフィレンツェで味わえるとは!もう何年も食べてなかったので本当に懐かしい!」と感激し、兄夫婦に感謝するのだった。