今回の配達先は世界有数のカイトサーフィンスポットであるスリランカのカルピティヤ。ここでカイトサーフィン・インストラクターとして奮闘する大島彩さん(28)と、愛知県に住む父・清さん(62)、母・温子さん(54)をつなぐ。両親には何も告げずスリランカに渡ってしまったまま帰ってこない彩さん。両親は娘のフェイスブックで安否を確認する状態で、父は「仲よく写真に写っている彼氏もいるみたいだが、正式な“彼氏”なのかどうかもわからない。将来どうするつもりなのか…」といい、娘の幸せな結婚を願う両親は心配している。
カイト(凧)で風を受けながらボードで水上を滑走するカイトサーフィン。学生時代はアジア大会で3連覇を果たすほどの実力者だった彩さんは、大学卒業後、カイトサーフィン一筋の生活に。9年間、風を求めて海外を転々とし、その旅の途中で出会ったカイトサーファーのフランス人・ステファンさん(37)と恋に落ち、2年前に2人でスリランカへ渡った。
彩さんがカイトサーフィン・インストラクターとして働くのは、“スリランカカイト”という、宿泊設備とカイトサーフィンスクールを併設したリゾート施設で、およそ20人いるスタッフの中で、日本人は彩さんひとりだけ。実は、ステファンさんがこの施設の共同オーナーになったことから、一緒に働かないかと彼女を招いたのだ。2人は施設内のバンガローを借りて一緒に暮らしており、仕事もプライベートも常に一緒だ。
日本の両親には住む場所もステファンさんの事も何も告げないまま日本を飛び出した彩さん。愛する人と自由な人生を謳歌しているが、両親が彼女の将来や結婚、彼氏についてとても心配していると聞かされると、「ステファンはすごく優しい人。結婚はお互い“してもいいね”というぐらいで…。実はプロポーズもしてもらったんですが、このビジネスが安定するのを待っている感じなんです」と現状を語る。
彩さんたちが将来についての答えを先延ばしにしているのには、ある訳が…。去年、施設内で火事が発生し、敷地の半分が消失。彼がオーナーでもあるこのリゾートが倒産の危機に見舞われたのだ。「今は金銭的にも大変で、ステファンや共同オーナーはずっと無給状態で働いているんです」と彩さん。今はスタッフ一丸となって施設を復旧中で、このことが、2人が結婚に踏み出せない理由の一つだという。
これまで両親には何も伝えてこなかった彩さんだが、「私自身が流されるままに生きてきて、自分がこの先どうなるのかもわからない。親に将来の話をしても、その通りになるとも限らない。それなら、敢えて言わなくてもいいのかなと…」と、彩さんなりの考えを明かす。一方、ステファンさんは彩さんとの未来について「もちろん結婚するつもりです。今は仕事のことがあるので、すぐにとはいかないけれど、必ず結婚して家族を作ります」と明言した。その言葉に、日本の母は、「彼の中に覚悟を感じて安心した。本気で娘のことを考えてくれているのだったら、彼女もやりたいことをやれて幸せかもしれない」と、納得したようだ。
そんな両親から届けられのは、クジラのしっぽをかたどったネックレス。昔家族でハワイに行った時に買った思い出の品で、母が大切にしていたものだという。クジラのしっぽにはハワイで“幸せを願う”という意味がある。嫁入り道具を持たせることもできないまま、娘が遠く離れてしまったことを悲しむ母が「せめて、その代わりに…」と贈ったもので、その思いを知った彩さんは「私の事をすごく思ってくれて…ありがたいです。心配かけてごめんなさい」と号泣するのだった。