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#3816月19日(日)10:25~放送
カナダ・バンクーバー

 今回の配達先はカナダ・バンクーバー。プロのメークアップアーティストを目指して専門学校で学ぶ逵真由子さん(26)と、奈良県に住む父・啓哲さん(59)、母・光代さん(52)をつなぐ。高校時代からメークの仕事に憧れ、専門学校を目指していたが、両親の猛反対にあい、不本意ながら大学に進学した真由子さん。それでも夢を諦めず走り続ける娘に、母は「今思えば、もうちょっと早くこの道に進ませてやればよかったかも…」と、悔いもあるようだ。
 真由子さんが通うメークの学校「ブランチェ・マクドナルド・センター」は、ニューヨーク、パリ、ロンドンなどファッションの最前線で活躍するメークアップアーティストや、ハリウッド映画の現場で働く卒業生も多く輩出している。真由子さんは卒業を1カ月後に控え、今は特殊メークの単位取得テストに向けて練習に余念がない。これまでの成績もよく、教師も「彼女には才能も情熱もあるし、自分にも厳しいから成功すると思う」と高く評価している。
 高校卒業後、メークの道に進むことを反対され、両親がすすめる4年制大学に渋々進学した真由子さん。「今思えば友人にも恵まれ、進学して悪くはなかったと思うけど、入学した当初は、ほかにやりたいことが明確にあるのに、4年も大学に行くのは無駄だ。最低限の単位だけ取って、親との約束さえ守ればいいと思っていた」と明かす。
 大学卒業後、あらためてメークの道を目指すことを決意。少しでも早く夢に近づこうと必死で働いた。3つのバイトを掛け持ちして休みなく働き、1年間でなんと500万円も貯金し、昨年、念願のメーク留学を果たした。今は貯金を切り崩しながらの生活だ。メークを本格的に学びだして1年。目標はニューヨークでメークアップアーティストとして成功することだという。「メークアップアーティストは世界中にたくさんいる。ほかの人に負けない自分の強みを早く見つけて、自ら売り込まなくても、向こうからメークをしてほしいといわれるメークアップアーティストになりたい」と夢を語る。
 これまで学校の成績ではよい評価を受けてきた真由子さん。「私はすごく才能があるわけではない。ほかの子よりも真面目にコツコツやるから、いい成績をもらえただけ。それは社会に出てからは関係ない。才能が無かったら生きてはいけない。果たしてどうなるのか…」。卒業を控え、将来への期待と不安が入り混じる。   
 そんな真由子さんが最近始めたことがある。モデルの卵、カメラマンの卵、そしてメークアップアーティストの卵である真由子さんが協力して、それぞれを売り込むための作品集を共同で作っているのだ。卒業後は生活費が底をつく前に、早く仕事を見つけなければならない。「不安ですが、挑戦し続けていくしかないですね」。
 強い覚悟を胸に日本を飛び出し、夢に向かって走り続ける真由子さんに、両親から届けられたのは帯。その昔、祖母が母に贈ったもので、幼かった真由子さんが「お母さんの次は私がもらうんだ」と言って、着物を包んだ畳紙に自分の名前を書いたのだ。添えられた母の手紙には「この1年、よく走り続けて来ましたね。真由子がどこに居ても私はここにいます。帰る場所はここにありますからね」と綴られていた。それを読んで涙した真由子さん。「自分の中で20代は種まき期間だと思っている。30代はそれが根を張り、40代・50代になって花咲けばいい。できるところまで頑張りたい」と、決意を新たにするのだった。