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#3775月22日(日)10:25~放送
ベリーズ

 今回の配達先は、35年前にイギリス領から独立した中米の国・ベリーズ。カリブ海に面した美しい自然あふれるこの国で、ツアーガイドとして奮闘するソリス麻子さん(36)と、茨城県に住む父・満さん(59)、母・洋子さん(64)をつなぐ。12年前、2年で戻る約束で青年海外協力隊としてベリーズに渡った麻子さん。母は「一人っ子なので、できれば一緒に住みたい。でも、もう無理なんでしょうねぇ…」と、寂しさを隠せない。
 麻子さんがベリーズにツアー会社を設立したのは9年前。日本人で唯一人のベリーズ政府観光局公認ガイドとして、日本でほとんど知られていなかったベリーズの情報を発信してきた。2014年には入国ビザが必要なくなったことで日本人観光客が急増しているという。
 ツアーの一番人気は世界有数の絶景“ブルーホール”の遊覧飛行。ブルーホールは海底にあった鍾乳洞の天井が崩れ落ちたためにできたといわれる直径300mにも及ぶ巨大な穴で、その美しさから「カリブの宝石」といわれている。実は、ベリーズにはこれまで遊覧飛行というものがなく、麻子さんの提案で初めて実現。多くの観光客を誘致するきっかけとなり、今やベリーズ観光の目玉になっている。
 観光資源には恵まれながらも未開拓の場所が多いベリーズ。その知られざる魅力を少しでも多くの人に伝えたいと、麻子さんは自分の足で国中を回り、現地の人と関係を築くことで、これまでこの国にはなかったさまざまなツアーを企画・実現してきた。昔からガイドをしていたベリーズ人のご主人・エルヴィスさん(32)も、現在は麻子さんの会社で現地人ガイドと共に仕事をしている。
 12年前ベリーズに渡り、エルヴィスさんと恋に落ちた麻子さん。青年海外協力隊の2年の任期を終えると、悩んだ末に帰国することを決意するが、帰国直前に麻子さんが「ジンベエザメを見たい」とエルヴィスさんに案内してもらった時のこと。この国で触れることを禁じられていたジンベエザメに、知らずに触ってしまう“事件”を起こしてしまう。50万円の罰金、もしくは半年の禁固刑が確定したが、エルヴィスさんが「ガイドの僕の説明が足りなかったからだ」と窮地を救ってくれたのだ。「この人をこのまま置いては帰れない」。麻子さんはエルヴィスさんと共にベリーズで生きていくことを決意したのだ。
 今やリゾート地として人気を集めるベリーズだが、産業は乏しく、仕事に就けない人も多い。そこで麻子さんは新たな雇用を生み出そうと、日本のジュエリーショップと提携。ベリーズの美しい貝を加工して作られる工芸品からアクセサリーを開発し、日本で販売しているのだ。エルヴィスさんも、若者たちが仕事に就けるようダイビング技術を教えるなど、この国の人々のためにさまざまな活動を行っている。麻子さんは「今は自分がガイドとして活動するより、いろいろな人に“場”を提供して、活躍してもらいたい」と話す。
 ベリーズを愛し「ベリーズの土に埋まりたい」という麻子さんに母から届けられたのは、懐かしい手作りの鶏のから揚げ。添えられた手紙には、娘が日本に戻ってくる日を待ち続けた母の切ない思いと、麻子さんの幸せを願う思いがあふれ、「これからは可愛い2人の子供と旦那様を大切に。素晴らしい人生を歩んでください。いつもあなたの事を愛し見守っています」と綴られていた。麻子さんは「私が日本に帰らないことを初めて認めてもらえたのかな」と、応援してくれる両親に感謝するのだった。