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#3744月24日(日)10:25~放送
カナダ・モントリオール

 今回の配達先は、世界最高峰のサーカス団“シルク・ドゥ・ソレイユ”の本拠地として知られるカナダのモントリオール。世界中からあらゆるパフォーマーが集まり、高みを目指すこのサーカスの聖地で、憧れのシルク・ドゥ・ソレイユを目指して奮闘する高山有璃子さん(19)と、東京に住む母・雅子さん(53)、祖母・敦子さん(77)をつなぐ。10歳の時、母と見たシルク・ドゥ・ソレイユの公演に衝撃を受けた有璃子さんは、すぐさま「ここに入る」と決意。その夢を実現するため、3年前に高校を中退し、単身カナダへと渡った。彼女の強い思いに、母は「反対のしようがなかった」と振り返る。
 現在は「ベルダンサーカス学校」に通う有璃子さん。ここはあらゆるサーカスの基礎が学べる施設で、シルク・ドゥ・ソレイユを目指す若いパフォーマーにとって、予備校のような存在だ。有璃子さんは毎日午後6時から10時までこの学校で練習に励んでいる。
 目指すのは、“トラピーズ”という空中ブランコのアーティスト。1つのブランコを使い、音楽に合わせてさまざまな技を披露する“ソロ・トラピーズ”を目指すようになったのは、シルク・ドゥ・ソレイユに出演していたその第一人者、ダリヤ・ヴィンテロバさんの演技に魅了されたのがきっかけだった。
 そんな彼女が今、練習で取り組んでいるのは、ブランコのロープを体に絡ませた状態で2回転する大ワザ。実は有璃子さん、よりレベルの高い「ケベックサーカス学校」の入学を希望しており、3日後に控えた入学オーディションでこの大ワザに挑もうとしているのだ。ケベックサーカス学校は卒業生のおよそ3割がシルク・ドゥ・ソレイユに入団するという名門。「ここに入れば技術も上がるし、シルク・ドゥ・ソレイユにさらに近づけるかもしれない」と期待を膨らませる。
 10歳の時に見たシルク・ドゥ・ソレイユに憧れ、サーカスの基礎となる筋力や柔軟性を身につけようと、有璃子さんは体操部のある中学に進学した。その後、両親の勧めで一度は高校へ進学したものの、サーカスへの思いは募るばかり。結局、高校を1年で中退し、16歳で単身カナダへ渡った。
 それから3年。現在は知人の家に間借りし、生活費の多くを両親からの仕送りに頼りながら夢を追う有璃子さん。「仕送りがないと生きていけない。本当にありがたい」と両親に感謝する。自身も、親の負担を少しでも減らそうと、練習の合間を縫って日本食レストランでアルバイトをしている。
 いよいよオーディション前日。実は昨年も同じオーディションを受けたのだが、結果は不合格だった。有璃子さんは「昨年はオーディションで指を骨折して…。数々の失敗もあってトラウマになっている。今は不安と恐怖でいっぱい」と、緊張で押しつぶされそうになっていた。そんな有璃子さんに日本から届けられたのは、祖母が炊いた黒豆。毎年正月に食べる祖母の黒豆は、彼女の大好物だったという。久しぶりに食べる味に「おいしい。懐かしい」と、顔をほころばせる有璃子さん。祖母の黒豆に大きな力をもらい、“人生の大一番”に挑むのだった。