今回の配達先はアイスホッケーの本場・カナダのペンティクトン。世界最高峰のプロリーグNHLを目指して奮闘するアイスホッケー選手・木ノ脇光さん(16)と、小学校時代に所属していたアイスホッケーチーム「かしわらオークス」のチームメート、中村唯我さん(16)、山中貫嵩さん(16)、監督の八木章博さん(43)をつなぐ。5年前、小学校卒業後すぐに自ら決断してカナダへ渡った光さん。中村さんと山中さんは、当時から彼が選手として抜きん出ていたことを証言する。光さんを1~6年まで指導した監督は「体が大きい方じゃないので、カナダの大きな選手を相手にどう戦っているのか」と、気がかりな様子だ。
光さんが所属する「オカナガンホッケーアカデミー」は、卒業生のほとんどがプロや国の代表選手になる世界有数の育成機関。カナダはもとより、世界中から才能ある少年たちが集まっている。チームメートは全員がプロを目指すライバルであり、日本のように共に喜び、楽しくプレーする仲間はここにはいない。
現在、光さんはカナダの公立高校に在籍。アカデミーの選手たちはここで午後1時までみっちり勉強し、授業が終わるとアカデミーの送迎車で練習場へ。毎日3時間の氷上練習、その後、専用ジムで1時間半のウェイトトレーニングをこなし、夜はアカデミーの送迎車でホームステイ先に帰宅する。毎日が家、学校、練習の繰り返しだ。
アイスホッケーとの出会いは6歳の時。アイスホッケー好きの父の影響で、地元の「かしわらオークス」に入団するや、一気にその才能が開花した。縦横無尽にリンクを駆け抜け、日本一と呼ばれるほどのポイントゲッターとなり、「周りからは“スゴイ”と言われて、チヤホヤされていた」と光さん。だが、小学6年の時に出場した大会でのあるプレーが、カナダ行きを決意させることに。「適当に打ったらゴールに入っちゃって。それで冷めたというか、カナダに行くしかないと思った」。日本に居たらこれ以上成長できない…そう悟った光さんは、6歳の時から共にプレーしてきた仲間たちと別れ、カナダに渡る決心をしたのだ。
それから5年。現在はチームで最も得点力が求められる右サイドのフォワードを務める光さん。実は今シーズン、光さんはケガが続き、リーグ戦の半分を欠場。ケガは治ったものの、得意のシュートはまだまだ精彩を欠いている。攻撃の要である光さんが不調のため、チームも7チーム中6位と低迷。“日本一の点取り屋”と言われた彼が、思うように得点できず、屈辱を味わっている。
そんな光さんに、日本のチームメートから届けられたのは1枚のポスター。かつて共にプレーした「かしわらオークス」の仲間たちの写真の中心に、大きく光さんの姿があった。そこには遠いカナダで独り奮闘する仲間への思いがあふれていた。感激した光さんは「今まで以上に気合を入れて頑張らないと。絶対NHLに行く!オークスのみんなの自慢になれるように頑張りたい」と誓うのだった。