過去の放送

#3683月13日(日)10:25~放送
韓国・ソウル

 今回の配達先は、韓国・ソウル最大の繁華街・明洞。一昨年に韓国人の夫を亡くし、幼い3人の子供を抱えて化粧品販売員として働く森川友利奈さん(29)と、日本の両親、父・真児さん(62)、母・絹代さん(63)をつなぐ。2人は「娘の夫が亡くなったときは信じられなかった。向こうに嫁がせた立場で何も手助けできず、胸が苦しい。子供たちを抱えて、どんな生活をしているのか…」と心配している。
 友利奈さんが働くのは、ソウルで7店舗を展開する人気コスメブランド「AHC」。元々エステサロン用の化粧品を開発する会社で、素材にこだわった高級化粧品を製造販売している。店はいつもお客でいっぱいだが、そのほとんどが外国人観光客。「昔は日本人が多かったけど、韓流ブームが過ぎて、今は中国人客がとても多い」と友利奈さん。店のスタッフも彼女以外は全員が中国語を話すという。
 友利奈さんは伸び悩む日本人客を少しでも増やそうと、自身のブログでAHCの商品情報を発信。丁寧でわかりやすい商品説明と、きめ細やかな対応で、多くの日本人ユーザーを獲得し、今では日本からの注文が相次ぐ。そんな努力の甲斐もあり、友利奈さんは2年前にアルバイトから正社員に昇格した。
 高校を卒業後、韓国に語学留学していた友利奈さん。当時は韓流ブーム全盛の頃だった。その時に出会った韓国人男性・クッポンさんと18歳で結婚。3人の子供に恵まれ、穏やかで幸せな毎日を送っていた。しかし一昨年の9月、最愛の夫クッポンさんが交通事故で帰らぬ人に…。享年32歳だった。友利奈さんは「心を許せる人を失い、すごく辛い。自分は不幸だと毎日泣いていた。仕事を頑張ることで寂しさを紛らわせていたところもあった」と振り返る。
 受け入れがたい現実に、今も心の整理はつかないという友利奈さん。現在は、結婚当初から同居しているクッポンさんの母親と、長女(9)、次女(6)、長男(4)の5人暮らしで、一家の生活を彼女が支えている。義母は仕事を辞め、家事全般と子供たちの面倒を見てくれており、友利奈さんは「お義母さんがいるから働けるし、生活が成り立っている」と感謝する。実は義母もまた、若くして夫に先立たれており、友利奈さんのやりきれない気持ちは痛いほどわかるという。
 今、韓国は不況真っ只中だが、AHCの業績はこのところ右肩上がりで、給料には満足しているという友利奈さん。しかし、教育熱が高い韓国では、小学生が塾や習い事を掛け持ちするのは当たり前。友利奈さんも小学3年の長女に週5日、英語とピアノを習わせており、「学費とか、子供たちの将来の事を考えると頭が痛い」という。
 最近、友利奈さんは「中国語を話せた方が働ける範囲が広がるから」と、中国語を習い始めた。まだ癒えぬ悲しみを抱えながらも、前を向き、1日1日を懸命に生きる友理奈さんに、日本の両親から届けられたのは、彼女が子供の頃、大好きだったというチョコレート菓子。添えられていた手紙には「このお菓子を見ると、笑顔いっぱいだった友利奈さんを思い出します。子供たちと一緒に食べて、笑顔であふれた生活を送ってほしい。日本に帰って来たくなったら、いつでも帰っておいで」と綴られていた。友利奈さんは「そう言ってもらえてありがたい。いつでも帰れる居場所があるからこそ、今ここで頑張れている」と両親に感謝するのだった。