世界遺産のアンコール遺跡群で知られる東南アジア随一の観光地、カンボジア・シェムリアップ。ここには過去、番組で届け物をした日本人が数多く暮らしている。今回はそんなシャムリアップで夢を追い、頑張る3人の日本人を“ぐっさん”こと山口智充が訪ね、日本の家族からの、思いのこもった届け物を手渡す。
まず会いに行くのは、2011年10月の放送で紹介した淡水魚研究家の佐藤智之さん(39)。琵琶湖博物館の研究員として働いた後、未知の魚が今なお多数生息しているカンボジアの淡水魚に魅せられ、6年前に奥さんと共に海を渡った。カンボジア初の淡水魚図鑑を作ることを夢見て、すべて自己資金で調査・研究を続ける智之さん。前回、蒐集した魚は200種ほどと語っていたが、今では450種に増え、「そろそろ図鑑の出版を考えている」と目を輝かせる。
いつも漁師の漁に同行し、研究用に欲しい魚を分けてもらっている智之さん。今回は東南アジア最大の巨大湖・トンレサップ湖で漁に同行するというので、ぐっさんも一緒に船に乗り込む。どんな魚が生息しているのか、まだほとんど知られていないこの湖。目の前で次々と引き揚げられる、日本では見たこともない珍しい魚に、ぐっさんも大興奮だ。
ほかにも、絶滅の危機に瀕している幻の淡水魚・タイガーフィッシュを繁殖させて増やすという目標を持ち、カンボジア初の淡水魚水族館を作るという夢を抱く智之さん。ひたすら調査と研究に没頭する日々をおくる彼に届けられたのは、家族が作ったオリジナルTシャツ。両親は、このTシャツを日本で販売し、智之さんの研究資金にしたいという。「みんなで応援してるよ」と激励する両親に、智之さんは「僕の思いがみんなに伝わっているのを感じます」と感激するのだった。
続いて訪ねるのは、2014年10月に登場した飴細工職人の関屋やよいさん(42)。35歳の時に飴細工の世界に心惹かれ、修業の道へ。1年半前、カンボジア初の飴細工の店を立ち上げるため、2人暮らしをしていた父を一人残し、40歳で海を渡った。店の主力商品は、実演販売もしている「組み飴」。切ると断面に同じ絵柄が出てくる飴で、物珍しさから現地での評判もいいという。そんな組み飴づくりにぐっさんも挑戦!自ら描いたデザインをベースに、飴を色づけし、それをこねるぐっさん。工作のような作業に「これ夢中になるね!」とすっかりハマってしまう。さらに、色ごとのパーツを重ねて棒状に伸ばし、カットして出来上がったオリジナルの飴に、ぐっさんも大満足。
前回、やよいさんは3人の現地スタッフに技術を教えていたが、今回はその顔ぶれがすっかり変わっている。聞くと、若いスタッフに技術を教えても、なかなか続かないという悩みを抱えていた。カンボジアでは家族の都合ですぐに仕事を辞めてしまう人が多いという事情があるのだ。そんなやよいさんを心配する日本の父から届けられたのは、たこ焼き器。そこには、店のスタッフとたこ焼きパーティーでも開いて、親交を深めてほしいという父の思いが込められていた…。
そして、もう一人は、2009年12月に登場した孤児院院長のメアス博子さん(40)。15年前にカンボジア人と結婚して海を渡り、夫が設立した孤児院で、親に見放された子供たちの母となって奮闘してきた。しかし5年前に離婚。今はカンボジア人スタッフと、23人の子供たちと力を合わせてこの施設を運営している。博子さんの目標は、自分たちの力だけでここを運営できるようになること。家事などはすべて子供たちが分担して自立心を養い、現金収入を得るためにさまざまな取り組みも行っている。
内戦の被害や貧困による育児放棄などで、40万人以上の孤児がいるといわれるカンボジア。ぐっさんはギターを手に、院の子供たちと一緒に歌を歌い、鬼ごっこをし、穏やかで楽しいひと時を過ごす。子供たちは屈託のない笑顔を見せるが、孤児院に来たばかりの頃は虐待などによって傷つき、心を開かなかった子もいるという。
6年前に番組が出会った子供たちは、皆卒業してすでに自立。ホテルマンになったり、院で身に付けた日本語を生かして旅行ガイドになった子も。ここで成長し、巣立っていく子供たちの姿を見るのは、博子さんの何よりの喜びだという。そんな博子さんへ、日本の姉から、子供たちが大好きだという箱いっぱいの日本の駄菓子が届けられる。
さらに、アンコール遺跡群では新たな日本人との出会いも。日本政府によるアンコール遺跡修復プロジェクトの現場責任者として働く石塚充雅さん(28)だ。内戦などで傷つき、バラバラになって散在する遺跡建物の石片に一つ一つ番号を振り、形や図柄などを元に一つずつ積み上げて修復する充雅さんらスタッフ。気の遠くなるような作業に、ぐっさんは研究者たちの遺跡修復にかける熱い情熱を感じるのだった…。