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#3304月26日(日)10:25~放送
トンガ王国・ヌクアロファ

  今回の配達先は、南太平洋に浮かぶ島国・トンガ王国。首都ヌクアロファで中古車販売に奮闘する宮川良雄さん(39)と、京都に住む妻・吉永さん(38)、娘・花恋ちゃん(3)、父・勝次さん(77)、母・雅子さん(77)をつなぐ。単身赴任でトンガに渡り2年。妻は「私一人ならトンガについて行ったが、子供がまだ1歳と小さかったので、一緒に連れて行くことはできなかった」といい、1人で送り出した夫を案じている。
良雄さんが働く「フォーエイチクラブモータース」は、日本で中古車販売を行う会社の海外部門・トンガ支社。スタッフは責任者の良雄さんのほか、日本語が堪能な現地スタッフと受付の女性の3人だけだ。近代化の波が押し寄せ、自動車の保有台数が急速に増えつつあるトンガだが、国内には信号がひとつもなく、まだまだ車環境は整っていない。
トンガの町を走るほとんどの車が10~20年前の日本の中古車ばかり。日本では考えられないようなボロボロの車も普通に走っており、「ヤシの実が落ちてフロントガラスが割れても、修理ができないのでビニールシートを貼って走っている車も多い」と良雄さん。とはいえ、公務員の平均月収が5万円弱というまだまだ貧しいトンガでは、平均年収のおよそ2年分にもなる中古車は高級品なのだ。
 そんな中で、良雄さんたちは品質のいい車を日本式の丁寧なサービスと共に提供しようとしている。しかし、現地のユーザーやメンテナンスを行う整備士など、日本から次々と入ってくる日本の車に知識が追い付いておらず、苦労も多いという。さらに、産業の発達が遅れているトンガでは、ほとんどの人が車の購入資金を、海外で出稼ぎする家族からの送金に頼っているため、なかなか即金で一括購入ということができない。分割で購入したものの、支払えなくなるというトラブルもある。良雄さんは「車が欲しいのはわかるが、そのために誰かに負担がかかったり、生活が破たんしたら意味がない。海外で出稼ぎをしている人の苦労に報いるよう、少しでも安くいい状態の車を提供したい。買ってもらってから、僕らの仕事が始まるんだという思いでやっています」と話す。
 幼いころから海外で働くことを夢見ていた良雄さんは、ファッション業界でキャリアを積んだものの、海外に出るチャンスには恵まれなかった。そんな良雄さんに声をかけてくれたのが、今の会社の社長だった。「海外で仕事がしたいという思いしかなかった。車の事なんて何もわからないのに誘っていただいて…ありがたかった」と良雄さんはいう。そんな経緯で7年前に32歳で転職。2年前、妻と幼い娘を日本に残してこの国にやってきた。
 トンガでは増え続ける自動車の数と共に、交通事故も増加傾向にある。良雄さんたちは車を販売するだけでなく、小学校に出向き、交通ルールを知らないトンガの子供たちにボランティアで交通安全教室を行うなど、トンガによりよい車社会を根付かせようと奮闘している。その一方で、家族と離れ、一人娘の成長をそばで見られないことを寂しく思っているという。
 そんな良雄さんに妻から届けられたのは、娘が成長する姿を収めた1枚のDVD。また一段と成長した娘の姿に目を細めて涙する良雄さん。「ここまで大きく育ててくれて、妻には本当に感謝している。こちらでしっかり仕事をするので、これからもよろしくお願いします」と、あらためて娘のことを託すのだった。