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#3284月12日(日)10:25~放送
ペルー共和国

ペルーで手作り石鹸を制作している石鹸アーティストで主婦の神農都子ゴメロさん(56)と、大阪・吹田市に住む息子の有逸さん(31)をつなぐ。7年前に15歳年下のペルー人男性と再婚し、50歳にして海を渡った都子さん。有逸さんは「母は子供の頃にケガをしたせいで足が悪く、病気もして…。何かあった時にすぐ駆けつけられない距離に離れているのは心配」と話す。
趣味が高じて2年前から本格的に始めたという都子さんの石鹸作り。制作するのは、建設会社を営むご主人のアルトゥーロさん(41)と暮らす自宅のキッチンだ。オリーブオイルなど4種類の油と、車で4時間かけて汲みに行くというアンデスの湧き水、苛性ソーダを混ぜ合わせ、彩り豊かな模様を付け、1か月乾燥させて完成させる。アンデス原産のハーブの粉末や、アンデスの棚田で作られた塩など、ペルーならではの自然素材を使うのも都子さんのこだわりだ。1つ日本円でおよそ500円と、工場生産された石鹸のおよそ3倍の値段だが、地道に売り込みを続けた結果、現在4店舗で扱ってもらえるようになった。
39歳で離婚した都子さん。前の夫の事業失敗による多額の借金を背負い、一人息子と共に厳しい生活を送ってきた。そんな中で出会ったのが、当時、京都の石材店に出稼ぎに来ていた23歳のアルトゥーロさんだった。互いに惹かれあい、付き合い始めた2人は、2002年にアルトゥーロさんがペルーに帰国してからも遠距離恋愛を続けた。しかし2004年、46歳の時、都子さんに子宮頸がんが見つかった。「彼には健康な女性と結婚してもらって、子供を作ってもらいたい気持ちもあった」と、苦渋の思いで一度は別れを告げた都子さん。しかし「やっぱり寂しかった。ある時、自分の気持ちに正直になるべきではないか?と思い、自分はどうしたいのか?と突き詰めていくと、やはり彼のことが好きで…」。都子さんが再び連絡を取り、「戻ってもいい?」と聞くと、アルトゥーロさんからは「その言葉を待っていた」という言葉が返ってきた。アルトゥーロさんは「このまま別れてどうなるのかと考えたら、苦しかった」と当時の心境を明かす。
都子さんは息子・有逸さんの就職を機に、50歳にしてペルーに嫁ぐことを決意。しかし都子さんの母は戸惑うばかりだったという。そんな祖母を、有逸さんは「お母さんをペルーに行かせてほしい」と説得してくれたそうで、都子さんは「頼もしい息子に育ったなと思いました」と、その時の思いを語る。何より一番うれしかったのは、アルトゥーロさんと有逸さんが、本当の親子のように絆を深めてくれたことだという。
 そんな都子さんに、有逸さんから届けられたのはクマのぬいぐるみ。お互いをペルーの言葉で「熊さん」「熊ちゃん」と呼び合っていた都子さんとアルトゥーロさん。アルトゥーロさんがペルーに帰ったあと、都子さんはこのぬいぐるみを見て、彼を思い出していたという。当時の気持ちを思い出して涙がこみ上げる都子さん。「私が大事にしていたのを息子は知っていたんですね。すごくうれしい」と感激する。添えられた手紙には「身体的ハンデだけでなく、離婚による借金返済など精神的ハンデを背負っていたオカンですが、ここまで僕を育ててくれて本当に感謝しています」と綴られていた。アルトゥーロさんも「本当の家族やね」と言って、思わず涙するのだった。