今回の配達先は世界のファッションをリードする街・イギリス・ロンドン。ここで駆け出しのフォトグラファーとして奮闘するレモン花奈さん(23)と、大阪・堺に住むイギリス人の父・ティムさん(51)、母、由美さん(52)、祖母・治子さん(80)、祖父・満さん(83)をつなぐ。父は「ロンドンのファッション界は非常にアグレッシブ。厳しく難しい仕事だと思う」と、競争の激しいロンドンで仕事を始めた娘を案じ、祖母は「一本立ちできるように、なんとか成功してほしい」と応援している。
幼いころ父にカメラを買ってもらったことから写真にのめり込んだ花奈さん。本格的に写真の勉強をしたいと15歳の時、撮影の技術を学ぶためニュージーランドに留学。ロンドンの大学院でも写真の専門技術を学び、昨年、フリーランスのフォトグラファーとして活動を始めた。その傍ら、4か月前から週の半分はロンドンでも有数のスタジオ「ビッグ・スカイ・スタジオ」でアシスタントとして働いている。スタジオでの仕事は、カメラアシスタントはもちろん、スタジオの管理や、撮影のリハーサルでモデルの代役をしたり、クライアント用の軽食を準備したり、撮影に関するありとあらゆる雑用をこなし、走り回っている。
7つのスタジオを備える「ビッグ・スカイ・スタジオ」は「ヴォーグ」や「エル」など有名雑誌や、世界的メジャー映画のポスター撮影などが行われている。ここで働いているアシスタントはおよそ20人。ほとんどがプロのフォトグラファーを目指している。数多くのクライアントやフォトグラファーと仕事ができるこのスタジオは、フォトグラファーの卵にとって最高の環境で、ここで働きたいと希望する人は多く、毎週100件もの問い合わせがあるという。花奈さんも「照明のアレンジなど、プロの仕事を間近で見られて、こんなに勉強になることはない」という。
フリーのフォトグラファーとして活動を始めて1年。徐々に撮影の仕事も増え、スタジオの仕事も合わせると、最近、なんとか食べて行けるようになったという。「どれだけ自分がユニークか、作品がユニークかが、これから大事になってくる。誰もがフォトグラファーと名乗れる今、いかに自分が目立って、作品を好きになってもらえるか。自分を失わず、自分らしく成功したい」。花奈さんはそう語る。厳しい競争の中、夢に向かって走り続ける彼女の逞しい姿に、祖母は「ボーっとした、のんびりした子だったのに、いつの間にか大きくなって…」と、しみじみ。父も「これからも夢を追い続けてほしい」とエールを送る。
そんな日本の家族から花奈さんに届けられたのは梅干し。彼女が15歳で日本を飛び出した年に、祖母が漬けたものだ。実家の庭で収穫した梅で祖母が作る梅干しは、花奈さんが一番元気の出る我が家の味。彼女を応援する家族みんなの思いが込められていた。「実家の梅干しがすごく恋しかった。よくおばあちゃんと一緒に梅を採って干しました」と喜ぶ花奈さん。懐かしい梅干をほおばり、「こうして家族が応援してくれるからこそ、自分らしさを保てる気がします」と、家族を思い、涙をこぼすのだった。