今回の配達先はトルコ・イスタンブール。トルコランプデザイナーとして奮闘するアスラン梢さん(29)と、神奈川県に住む母・久仁子さん(58)、姉・彩さん(33)、姪・澪ちゃん(6)をつなぐ。5年前に海を渡り、トルコ人男性と結婚した梢さん。トルコでは妻は家事を完璧こなすことが当然とされるが、母は「娘が料理をしているところを見たことがない。家事も何もできないまま行かせてしまって…」と心配している。
イスタンブールの市場「グランドバザール」にトルコランプの店を構える梢さんと夫のファドゥルさん(30)。トルコランプの歴史は古く、トルコを代表する建築物「モスク」と共に始まったとされ、現在、ブルーモスク(1616年建築)の中に吊るされているのがその原型といわれる。そんな中でも、色ガラスの破片を張り付けた色とりどりの「モザイクランプ」は10年ほど前から作られ始めたもの。梢さん夫婦はそんなモザイクランプをデザインし、梢さんが実際に制作して販売している。 夫曰く「彼女の作るランプは出来上がりが丁寧でおしゃれ。日本人好みの優しい色合いで、細かい装飾が人気」という。
子供の頃からモノづくりが大好きで、学生時代にはアクセサリー制作を学び、高校卒業後はネイルアーティストとして働いていた梢さん。そんな時、トルコ旅行で出会ったのがトルコランプだった。その美しさに心奪われた梢さんは、「グランドバザール」の店をほぼすべて回り、一番かわいいランプを置いていた店で購入。その店がファドゥルさんの店だった。現在はランプ作りだけでなく、自宅でネイルアートや、トルコの天然石を使ったアクセサリー作りなども精力的に行い、「1日24時間だけでは足りない」といいながらも、「大変だけど、自分の楽しいことをやっているから苦じゃない」と充実している。
一人娘・衣恋ちゃん(3)の母でもある梢さん。結婚までは卵焼きしか作れなかったというが、トルコでは妻が家事や育児を完璧にこなすのは当たり前。特に料理は重要だという。家族や友人が急に集まり、盛大なホームパーティーが開かれるのもトルコの日常風景だが、そこに並ぶすべての料理を作るのは妻の大事な仕事なのだ。今ではそんなパーティーもテキパキと準備できるようになった梢さん。夫も「いつもおいしい料理を作ってくれる」と絶賛だ。
トルコランプデザイナーとして、妻として、母として、休みなく働きながら充実した日々を送る梢さん。日本の母から届けられたのは、梢さんの大好物“あんこ”と、母直筆のレシピ。これまで娘には料理を教えたことがなかった母が、初めて伝えるおふくろの味だ。梢さんはさっそく娘と夫のためにあんこを手作り。「自分が親になって忙しくなった今、母が時間の無い中でいつも作ってくれていたというのがうれしい」といい、懐かしい母の味を家族みんなで味わうのだった。