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#2865月18日(日)10:25~放送
ブラジル

今回の配達先はブラジルのカンポ・グランデ。プロサッカー選手になるため、14歳でブラジルに渡ったサッカー留学生の牧野智樹君(15)と、日本に住む父・隆博さん(41)、母・安佐美さん(43)をつなぐ。中学卒業を待たずに日本を飛び出した息子に、両親は「まだ早いだろうと思っていたが、”サッカーをやっていくには今じゃなきゃダメだ”と言われて…。寂しいより、心配のほうが大きい」と話す。

 智樹君が所属する「コレジオABC」は、私立学校が運営するサッカークラブで、およそ100人が所属する強豪クラブ。智樹君は17歳以下のチームに所属している。総監督を務めるリカルドさん(35)は、神戸や大分など日本のプロフットサルチームで長年活躍した選手で、一昨年、母国ブラジルに戻り、このチームを指導している。智樹君は日本にいたリカルドさんと知人を通じて知り合い、ブラジルに渡ったのだ。「プロサッカー選手になるのは小さい時からの夢。それに向かって全力でやっていけるようにブラジルに来た」と智樹君はいう。

 元々兄の影響でサッカーを始め、地元の有名クラブチームで活躍していたが、自らの性格が原因で、一時はその道が閉ざされそうに。「感情のコントロールができなかった。自分を“スゴイ”と思いすぎて、“お前ら黙れ”みたいな気持ちがあった。それが直せないまま、いろんなことが重なって、クラブをやめることになって…」と智樹君。そんな時にリカルドさんと知り合い、ブラジルに渡る決意をしたのだ。

 現在はリカルドさんの自宅でホームステイをしている智樹君。リカルドさんは、「すごく上手な選手だったが、ボールをもらえないと怒ったりすることもあった。まずはそこを教えるところから始めた」といい、最初に与えた仕事が、チームメート全員のユニフォームの洗濯だった。智樹君は「最初は嫌々だった。でもほかの人がやっているのを見たら、そういう人がいるからきれいな服が着られるんだと思うようになった。今は進んでやっている」と、大きな成長ぶりを見せる。

 現在は所属するチームを運営する私立学校に通い、ポルトガル語もマスター。授業が終わるとすぐにサッカーの練習をし、夜はプロのフットサルチームの練習に、大人たちに交じって参加するなど、サッカー漬けの日々をおくる。「サッカー選手になりたければ、どんな時も頑張らないと。それが一番の楽しみだし、今後の人生がそういう風になったらいいと思ってやっている」と智樹君は夢を語る。

 サッカー選手としても人間としても大きな成長のさなかにある智樹君。「ここでいろんなことを全力でできるのは、両親のおかげ。すごく感謝している。昔いろんなことで迷惑かけたことは反省している。今は信じてもらい、チャンスをもらえてると思うので、全力でやるだけです」と、日本から援助を続けてくれている両親への思いを明かす。

 そんな両親から届けられたのは、中学校の卒業証書。学校のはからいで、智樹君の代わりに母が受け取ってくれたものだ。父の手紙には「夢を諦めず頑張ってほしい。一人じゃないことを忘れずに、大きくなって帰ってきてほしい」と綴られていた。智樹君は「感動です」と涙し、「結果を出し、プロサッカー選手になって恩返しをしたい」と、決意も新たにするのだった。