フランス・パリにある世界最古のファッションスクールで講師を務める谷脇かなえさん（68）と、日本に住む姉をつなぐ。かなえさんが受け持つのは高級な仕立服「オートクチュール」のクラス。今や伝統の仕立の技は失われつつあり、コルセットの手縫いを指導できるのは、フランスでもかなえさんを含め数人しかいないという。授業で生徒たちに厳しく指導するのは、自分が持つ技術のすべてを次の世代に伝えたいと願うからだ。かなえさんは現役の職人でもあり、講師の傍ら、オートクチュールデザイナー、フランク・ソルビエ氏のもとで、1着1千万円を超える芸術品のようなドレスも手掛ける。さらにデザイナーとしても自身のブランドを持ち、その洗練されたドレスに魅了される顧客は多い。1964年に東京の文化服装学院に入学し、その優れたセンスと高い技術で、ファッション業界の名だたる賞を総なめにしたかなえさん。26歳の時、三宅一生氏に頼まれ、フランス進出の立ち上げデザイナーとしてパリへ渡った。それから43年。ファッションへの熱い情熱を胸に駆け抜けてきたかなえさんに、日本の姉から懐かしいあるモノが届けられる。