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#2773月9日(日)10:25~放送
インド/ヒマラヤ

今回の配達先はインド最北部、ヒマラヤの山々に囲まれたラダック地方。極寒のこの地で夫と旅行代理店を営む上甲紗智さん(32)と、滋賀県に住む父・一男さん(58)、母・典子さん(58)をつなぐ。この地で夫と出会って恋におち、日本の生活も仕事も捨て、5年前に嫁いだ紗智さん。両親は「冬は-20℃になる秘境と聞いている。病気になったときが心配」と、厳しい環境で暮らす娘を案じている。

 紗智さんたちが営む旅行代理店「ヒドゥン ヒマラヤ」は、夫・ヤンペルさん(35)の故郷でもあるラダック地方の秘境「ザンスカール」へのツアーを主力商品に扱っている。世界中の秘境マニアの聖地として知る人ぞ知る場所で、最初ツアー客はそれほど多くなかったが、紗智さんが始めたブログが好評で、日本人の客が増えてきたという。

 旅行代理店では紗智さんがツアーの手配や経理を担当し、夫のヤンペルさん(35)がガイドを、もう一人の社員がポーター兼コックを務める。長靴などツアーに必要な道具を用意するのも紗智さんの大切な仕事の一つ。事前にツアー客が宿泊するホテルを訪ねて長靴を試着してもらうなど、細やかな気配りが口コミで評判を呼んでいるという。

 幼い子供たちと一家4人、これまでずっとアパート暮らしだったが、旅行代理店の経営も軌道に乗り、昨年ようやく念願の一軒家を建てた。しかし生活は日本とまったく違い、不便も多い。冬場は水道管が凍るため、生活用水は汲み上げた地下水を使う。それを電熱器で温めて体を洗うのに使うのだが、たびたび停電になるため、使えないことも多いという。また、冬は葉野菜が手に入らなくなるため、夏場に乾燥させた野菜を買って、スープなどに入れて食べるという。

 紗智さんは大学生の時カナダへ留学し、卒業後は秘境ツアー専門の旅行代理店に就職。添乗員としてラダックを訪れたとき、ガイドだったヤンペルさんと出会って恋に落ち、結婚した。会社を辞め、日本での生活も捨て、この極寒の秘境で生きていくことを決めた紗智さん。「初めてラダックの秘境ザンスカールへ行ったときは、その素晴らしさに“ここで人生を終えられたら素敵だな”と思いましたが…。まさかここに嫁いで住み着くことになるとは…」と、不思議な縁を感じている。

 ラダックに渡って5年。紗智さんは「私はこの土地が大好きで、この土地の人も私を受け入れてくれている。土地だけじゃなく、夫や夫の親戚、仕事で関わってくれている人たちが、私のことをすごく大事にしてくれる。だから私はここに住んでいる」という。愛する家族や仲間と共に大好きなこの地で生きる紗智さんに、日本の両親から届けられたのはハンモック。実家の居間で20年以上使われ、家族の歴史をずっと見守ってきたものだ。紗智さんは「私と妹が小さいころから家の中にあって、ブランコみたいにして遊んでいた。何度も修繕して使ってきたものです。まさかラダックで出会えるとは…」と大感激する。