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#2251月20日(日)10:25~放送
イタリア/ボローニャ

 今回の配達先はイタリア・ボローニャ。イタリアンジェラートの魅力にはまり、人生を賭けるジェラート職人の入江真琴さん(35)と、埼玉県に住む父・克郎さん(59)、母・絹恵さん(60)をつなぐ。両親に相談もせずに会社を辞めて日本を飛び出した真琴さん。母は「娘の頭の中はジェラートのことしかない。取り憑かれた感じ」といい、父は「あえて冒険に飛び込んでいく気持ちがどうしても理解できない」と複雑そうだ。

 現在は、ジェラート機械メーカー最大手「カルピジャーニ」が9年前に設立したジェラート専門の大学で講師を務める真琴さん。この大学では、ジェラート作りはもちろん、その文化や歴史、店舗を出店するためのノウハウまで教えており、生徒の年齢や国籍はさまざま。その多くが転職や副業を目的としてジェラートを学びに来ているという。ここ数年、経済危機が続いているイタリア。この大学でジェラート作りを学び、海外でショップを出そうという人が急増しているのだ。

 「食材の“遊び”をするのが楽しい」と、ジェラート作りの魅力を語る真琴さん。ジェラートはベースを作るときの砂糖の種類や割合を調整することで、その仕上がりが大きく変わるという。さらにフルーツやチーズなどをフレーバーとして加えることで、バラエティーに富んだ味わいを生み出す。素材の組み合わせや調合で無限の可能性が広がるのがジェラートなのだ。

 幼い頃からアイスクリームやジェラートが大好きだったという真琴さんが、勤めていた会社を辞めてイタリアに渡ったのは9年前。言葉も分からない中、なんとかローマのジェラートショップで雇ってもらい、夢中でジェラート作りを学んだが、3年が経った時、ビザの関係で帰国を余儀なくされた。日本では「カルピジャー二」の日本支社に就職したが、“もう一度本場でジェラートの仕事をしたい”と、昨年再びイタリアへ戻ってきたのだ。

 そんな真琴さんには小学生の頃、成績が伸びず両親に申し訳ないと思い悩んでいた時期があったという。当時、週末毎に家族で庭の草むしりをしていたが、ある時、家族のためにアイスクリームを買いに行った真琴さんは、“草むしりで汗をかいた父には、脂肪分の多いクリーム系より、さっぱりしたものが嬉しいんじゃないか”と考え、レモンシャーベットを選んだという。「その時父が、私の選んだシャーベットが美味しいと言って喜んでくれ、子供心にすごく嬉しかった。それが今のジェラートにつながっている」と真琴さんは振り返る。

 本場でジェラート作りに携わりたいという一心でボローニャに戻った真琴さんだが、経済状態の悪いイタリアに戻ることは、大幅に収入が下がることでもあった。しかし真琴さんの心の中には、幼い頃に父から言われた言葉――“人生の岐路に立ち、迷った時には、敢えて苦労しそうな道を選びなさい”――がずっとあったという。「それから苦しい道を選ぶようになった。今はまさに苦ばかりですが、“成長しているんだ”とも感じている」と真琴さん。それを聞いた父は、そんなことを言った自分を悔やみ「もう苦労はしてほしくない」と涙ぐむ。

 そんな父からのお届け物は、幼い頃、真琴さんが父に褒められたあの思い出のレモンシャーベット。久しぶりに食べる懐かしい味に、真琴さんは「これが原点です」と涙する。添えられていた父の手紙には、窮屈な助言を押しつけてしまったことを悔やむ思いと、“これからは自分の目指す幸せの形を思い描き、幸せを手に入れて欲しい”との言葉が綴られていた。真琴さんは「今は苦ではなく、幸せになるためのステップだと思っている。さらに頑張って、もっと美味しいジェラートを絶対に日本に持っていく!」と固い決意を語るのだった。