今回は“ぐっさん”こと山口智充が初めてのスペイン・バルセロナへ。この地で夢を追い、奮闘する3人の日本人に会いに行く1時間スペシャルだ。
まず訪ねるのはバルセロナの象徴、現在も建築が続くアントニオ・ガウディの作品「サグラダファミリア聖堂」。そこで対面したのは、以前にも番組に登場したガウディ研究家の田中裕也さんだ。設計図がなく、ガウディの残したイメージ画だけを元に建てられたガウディ建築。田中さんはそれらを自らの手で実測し、正確な図面を作り、隠された天才建築家の意図を見出すという、気の遠くなるような研究を35年も続けている。「実測してみて初めて、それまで分からなかったことが見えてくる。その面白さ、喜びだけでやってきた」と田中さん。その自宅では、8年かけて木の1本1本まで忠実に描き上げたという「グエル公園」の、長さ5mもある実測図を見せてもらい、山口は「男のロマン、情熱ですね」と大感激。こうした活動が認められ、田中さんは今年、ガウディ研究の第一人者から公式に後継者として認められた。そんな田中さんに、日本のお兄さんから届けられたのは赤いスニーカー。今年還暦を迎える田中さんに「健康に注意し、夢を大事に突き進んでほしい」との思いを込めて送ったものだった…。
続いて山口は、お酒を飲みながらフラメンコを鑑賞する「タブラオ」というバブで、「スペインに来たらぜひ見たかった!」という念願の生フラメンコを初体験する。その舞台に颯爽と登場したのが、現地で活躍するプロのフラメンコダンサー・中田佳代子さん。スペインに渡り20年、フラメンコ発祥の地、アンダルシアで行われる由緒あるコンクールで、外国人として初めて準優勝を果たした現地でも有名なダンサーだ。初めて見る情熱のフラメンコに大興奮の山口は、本番を終えた中田さんを楽屋に訪ねる。「生の迫力はすごい!ゾクゾクした。パワーをもらって、こちらも気持ちよくなった!」と興奮さめやらぬ山口を、中田さんはなんと「教えますから、ぜひフラメンコを踊ってみませんか?」と誘う。
翌日、連れて行かれたのはプロ志望の生徒が通うフラメンコ教室。そこで山口は猛特訓を受け、汗びっしょりになりながら難しいステップの練習を繰り返した。そしていよいよ他の生徒たちの前でフラメンコを披露することに。フラメンコ用の立派な衣裳に身を包み、メイクも施して野性的なフラメンコダンサーに大変身した山口は、中田さんを相手に華麗なダンスを披露し、大喝采を浴びる。
そんな中田さんは、スペインに渡るときも、スペイン人の夫と結婚するときも自分1人で決めてしまい、岩手に住む母は結婚式に来ることも出来なかったという。そんな母から届けられたのは着物。添えられたビデオレターには「結婚式で着たい思って作った着物だけど、叶わなかった。フラメンコの衣裳でも作って活用してほしい」と、母の切ないメッセージが…。
そして最後のお届け先は、画家の松本佳久さん。彼のキャンバスはホテルやレストランの壁だ。現在バルセロナには彼の絵が描かれた店が100軒以上もあるという。使うのはどこにでもある油性のペン。下描きもせず、壁にいきなり描いていくのが彼のスタイルだ。「1度描いたら消せないところが好き」という松本さん。山口も「僕もぶっつけ本番が好き。その瞬間にしか生まれないモノがある。そこにゾクゾクする」といい、2人はすっかり意気投合する。
山口は松本さんが新しく絵を手掛けている店で自由に描く松本さんの様子を楽しそうに見ていたたが、松本さんから「描いてみます?」と勧められ、オーナーからもOKをもらい、なんと大胆にも壁にいきなり絵を描き始める。それはバルセロナに来た初日に乗ったバスと音楽と太陽…山口が今回感じたバルセロナがすべて詰まった素敵なイラストだった。
大企業を辞めて世界を放浪し、30歳を過ぎてから好きな絵を描いて生きていこうと決意し、スペインに渡った松本さん。最初の数年間は仕事が見つからず、躾の厳しかった日本の母とは何度も衝突を繰り返した。ようやく絵の仕事で生活が出来るようになり、いまは母への気持ちも少しずつ変わってきたという。そんな母から届けられたのは200本もの油性ペン。「これを全部使い切ってバルセロナの街を佳久の絵で埋め尽くしてほしい。応援している」という母の思いが込められていた…。