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#2068月12日(日)10:25~放送
イギリス/ロンドン

 "イングリッシュガーデン"という庭を楽しむ文化が生活に根付いているイギリス・ロンドン。ここでガーデンデザイナーとして奮闘する河内智子さん(31)と、山梨県に住む父・賢二さん(65)、母・寛子さん(64)をつなぐ。7年前にイギリスに渡って園芸を学び、卒業後、ガーデンデザイン会社に入社した智子さん。幼い頃からイギリス映画が好きで、その中の景色や暮らしぶりに憧れていたそうで、母は「いつか行くだろうと思っていた。寂しいけど、そう伝えるのは可哀相なので、喜んで送り出しました」と、娘を見送った当時を振り返る。父も「喪失感は強いが、本人が好きな道で幸せなら…」と、複雑な気持ちを明かす。

 智子さんが勤めるデザイン会社は、上司のシャーロットさんと2人で切り盛りしている。イングリッシュガーデンの基礎を教えてくれたシャーロットさんは「智子は私の右腕。一緒に会社をここまで大きくしてきた」と、その実力を高く評価する。ガーデンデザインの仕事はまず、頭に閃いたイメージを手描きでデザインし、イメージが固まるとどの場所にどんな木や草花を配置するか、お客さんの好みを考慮ながら決めていく。1万種類以上もあるイギリスの植物から一つ一つを選び、さらに現場では指示を出す。この6年で智子さんが手掛けた庭は60件以上。目指すのは過度な装飾のない、シンプルで現代的なスタイルの庭だという。

 伝統的なイングリッシュガーデンには王族や貴族ならではのこだわりが盛り込まれ、幾何学的で、左右対称に作られているのが特徴。一方、現代のイングリッシュガーデンは個人のスペースで作られ、それぞれ理想のヴィジョンを熱狂的に庭に再現しようとするという。それだけに庭に思い入れの強い客が多く、急な変更や難しい要求も日常茶飯事だとか。「こちらは全体のことを考えて、そこに植えたいと思っても、お客さんは毎日それを見なければなりません。不満を抱えて暮らすわけにいかないですし、少し無理をしてでも要望は聞き入れますね」と智子さんはいう。

 そんな智子さんは1年前に7歳年下のエディーさんと結婚したばかり。彼も植木屋で働いており、ゆくゆくは一緒に仕事がしたいと考えている。「いずれ独立して自分の事務所を持ち、少ない費用でもいいから、いろいろな仕事にどんどんチャレンジしたい」と意欲的だ。仕事と家庭に恵まれ、イギリスで生活の基盤を築きつつある智子さんだが、気がかりなのは両親のこと。「本当は日本にもっと帰って親孝行したいですが…。今は仕事の関係で年に1回帰るのも難しい。葛藤しています」と、複雑な思いを語る。

 そんな智子さんに両親から届けられたのは、母の手編みのセーター。イギリスに憧れていた小学生の頃、母にせがみ、イギリスの子供たちの写真を参考に編んでもらったものだという。「母も仕事が大変だったと思いますが、夜遅くまで編んでくれていた記憶があります」と智子さん。添えられていた手紙には、「私達のことは心配せず、イギリスで幸せに暮らしてください。子供が出来たらこのセーターを着せてあげてください」と、初めて知る両親の想いが綴られていた。智子さんは「母も覚悟してたんだろうけど…本心ではどう思っているのかわからなかった。今の生活があるのは両親のおかげです。どうにかいい思いをさせてあげたいですね」といって涙をこぼすのだった。