「ヒョンソン、3勝目!」
す・またんファミリーで弟分のキム・ヒョンソン(金亨成)が週末の中日クラウンズで日本ツアー通算3勝目を挙げました。
(1月のソニーオープンで)
先週PGAツアーで初優勝を飾ったノ・スンヨルに続いて、「痛ましい事故が続く韓国に良いニュースを届けたい!」と最終日は黄色いシャツで出陣したヒョンソン。
(セウォル号沈没事故による行方不明者の無事の帰還を願って韓国では黄色いリボン運動が広がっている。)
アメリカから凱旋2試合目の石川遼と、地元名古屋出身の近藤共弘との最終組は1万人近い大ギャラリーを引き連れてのプレーとなりました。
ヒョンソンは「凄いギャラリーですね!」とスタート前から余裕のある表情です。
最終日のフロントナイン、ヒョンソンは6番ホールまでオールパー。和合コース特有の風と固く小さいグリーンに全選手がてこずる中、見事なショートゲームでしのぎます。
迎えた7番ホールパー3。石川遼がオナーで先に打ったボールが右からの風に流されバンカーに掴まったのを確認したヒョンソンは、その風を読み切りピンそば50cmに付けるスーパーショット。この日初のバーディーを奪います。
ここで、同じ組の石川と近藤がダブルボギーと崩れ、優勝争いからは事実上の陥落となりました。
単独トップに立ったヒョンソンのライバルは、前の組で廻るI・J・ジャンと今野康晴の二人。この二人はこの大会の歴代優勝者であり、開催コースの和合を得意としています。
ヒョンソンも「ジャン先輩と今野さんがどこで追い付いてくるか気になっていました。」とこの二人を意識していたようです。
フロントナインを1アンダーでターンし、12番ホールではグリーン横からチップインバーディー!
12番は排水溝にボールが乗って、ルールに従いドロップしたのですが、「ドロップしたボールがラフの短い草に刺さった状態で、とても難しいアプローチでした。もう1回打てと言われても打てません。」と振り返った会心のチップショットです。
普通ならこれで優勝に向け一気に弾みが付くはずですが、実はこのバーディーでヒョンソンの気持ちが変化したそうです。
「あのバーディーを獲ってからの方が、優勝へのプレッシャーが重くかかってきたんです。リードは広がったんですが、自分のスコアが動いたことで気持ちもざわつきました。」と話してくれました。
不思議なものです。テレビ中継の解説では、「追う選手達が脱落して、ヒョンソンの気持ちを楽にさせてしまっている。だからヒョンソンのプレーが良い方に良い方に回ってしまっている。」と試合展開を分析していました。
ですが、トップに立つ当の本人にとってはあの一打が逆にプレッシャーになるのですから。重圧のかかる局面での心理状態は本人にしか分からないのです。
その後、15番、18番でも10メートルを超えるロングパットが決まり、最終的には4打差をつける圧勝劇でしたが、そこに辿り着くまでは決して楽な道のりではなかったそうです。
「先輩、私にはまだまだ課題があります。今日は優勝のプレッシャーがかかった中で、ボールコントロールが上手くいきませんでした。特に、ドローボールで狙ったショットが右に外れてしまいました。3日目までは気にもならなかった林やハザードが、優勝争いの展開の中では変に目に付き、気になってしまいました。まだまだやることが沢山あります。」
“勝って兜の緒を締めよ”
韓国にこの言葉があるかは分かりませんが、今年ヒョンソンが目標として掲げている「日本ツアー賞金王」と「世界ランキング50位以内」を実現する為に、ヒョンソンは更なるレベルアップを目指し、自分自身を律しています。
大阪に戻り、仲間内で祝勝会をしました。
(優勝トロフィーと記念のケーキを手にポーズ)
(右から、小澤、キム・ヒョンソン、ハン・リー、二人の所属先の勘定さん)
自分の祝勝会でもヒョンソンはお酒を飲みません。シーズン中はたとえ翌日試合がなくても、ヒョンソンはお酒を口にしないのです。
ヒョンソン、おめでとう!!本当にかっこ好くて、誇らしい弟です。