「PGAツアーデビュー 2 」
「先輩、久しぶりのコンビですね!」指定練習日の7日火曜日、ホテルに迎えに来た“選手専用送迎車”に乗り込むなりヒョンソンが言ってきました。
ヒョンソンのバックを担ぐのは2年ぶり。あの頃、練習のし過ぎから肩を壊し、シード権すれすれだったヒョンソンも今や日本ツアー賞金ランキング2位、世界ランキング62位(大会当時)にまで上り詰めました。ヒョンソンのプレーの変化を肌でどう感じるのかも楽しみでした。
車中でヒョンソンにオフに入ってからのトレーニングの内容を聞くと、まさかソニーオープンに出られると思ってなかったので、ウエイトトレーニングのみで2週間半クラブを握っていないとのこと。
本番まであと2日、ボールを打つ感覚をどこまで取り戻せるのか、いつも前向きなヒョンソンも少し不安そうな様子です。
それでも海外メジャー大会の出場やPGAツアーのシード権獲得を目標に掲げているヒョンソンだけに、「この突然もらったチャンスを、単なる“PGAツアー記念出場”の一戦で終わらせず、シード権獲得の足がかりにしたい。」という意気込みもヒシヒシと伝わってきます。
「初日はゴルフの感覚と、試合勘が少しでも戻ればいいよ。ゆっくりラウンドしよう!」と二人で話しながら10分ほどでコースに到着。これまでギャラリーとして度々この大会を訪れてきましたが、その時とは胸の高鳴りがまるで違います。
私はまずキャディ登録をしなければいけません。PGAツアーではキャディ自身がエントリー手続きをしないといけないそうです。
既にPGAツアーを主戦場としている韓国の若手ホープ、ノ・スンヨルのキャディに聞いたのですが、スンヨルのキャディはアメリカ人で日本語は全く話せません。何とかやりとりが成立して段取りを教えてくれたのですが、英語での手続きに不安がよぎります。
手続き会場へと一人とぼとぼ歩き始めると、川村昌弘プロとそのキャディ小岸秀行さんも同じタイミングでやって来てエントリーの手続きをするとのこと。一気に不安は吹き飛びました。
3人で思い思いのポーズを考えながら、ID用の写真撮影タイムは爆笑の連続でした。
川村プロは勝負師として「真面目顔」で撮影。出来あがった写真を見て「愛嬌がまるでありませんね・・・」と苦笑い。小岸さんはキャラ通りに笑いを取ろうと「おちゃらけ顔」で。私は最高の笑顔を作ったつもりが、瞬きをした瞬間にパチリ。目が半開きの「まぬけ顔」になってしまいました。
きっと最初で最後であろうPGAツアーのID証なのに残念・・・。それでも、顔写真入りのID証を受けとった時はPGAツアーの一員になれたようで子供のように浮かれてしまいました。これがそのID証です。
狙ったわけではありません。残念過ぎます・・・。
さて、無事にID証もゲットし、18ホールの練習ラウンドです。
メンバーはキム・ヒョンソン、韓国ゴルフ界のスーパースターでPGAメジャーチャンピオンのY・E・ヤン、韓国若手ホープのノ・スンヨル、日本ツアーでも活躍したドンファンの4人。
私にとっても顔馴染みのPGAツアーメンバーです。いよいよキャディとしての仕事の始まりです。
前置きばかりで中々本題にたどり着きませんが・・・<3>に続く