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小澤昭博(ytvアナウンサー)『小澤昭博のゴルフナビ』

「“みんなで作るトーナメント”で学んだこと」

第二回とうとうみ浜松オープンに取材に行って来ました。


見事な逆転・初優勝を飾ったのは、日本ツアーに参戦して3年目の28歳、韓国系アメリカ人のJ・チョイです。


わずか12歳でゴルフ修行の為に単身渡米して腕を磨いた根性の持ち主です。日本ツアー参戦後は「しっかりと腰を据えて頑張りたい」と滋賀県のタラオカントリークラブに所属。


日本では住まいを構えずにホテルを転々としながら参戦している外国人選手が多い中、チョイは意気込みが違います。


大会3日目私がチョイの組に付いていると、突然チョイが寄って来て「小澤さん、こないだ“教えて辛坊さん”(ZIPのコーナー)に出てるのを見ましたよ!今度チョイのこともテレビでアピールして下さい!!」と、ラウンド中にも関わらず流暢な日本語で話し掛けられました。それ程気負わずにプレーしているということです。


最終日も最終組の一つ前の組でプレーしていたチョイですが、最終組の張り詰めた緊張感とは違い、とてもリラックスした表情で伸び伸びと攻撃的なゴルフをしていたので、トップとは5打差ありましたが、「もしかしたらチョイの逆転優勝があるかも・・・」と途中で口走った程です。


スイングはとてもシンプルで切れ味があります。トーナメントの取材に行くと私は必ず自分のゴルフの参考に出来るところをトッププロの技術の中から探します。私が取り入れることが出来れば、アマチュアの皆さんの参考にもなるので、中継の中でそのポイントをクローズアップする様に心がけています。チョイのスイングはとても良い教科書になります。


「チョイのスイングはとても綺麗だね!」と伝えると、「練習場では最高ですが、コースに出ると最悪です。」と笑っていました。


そんなチョイでも、試合後の優勝インタビューでは緊張と興奮からか、日本語がたどたどしくなっていましたが。チョイも中日クラウンズで勝ったI・J・ジャンも、普段は日本語がペラペラで後輩の韓国人プレーヤー達に教えているぐらいなのに、優勝インタビューとなるとチョイもI・Jもそうスラスラとはいかないものなのですね。


次に、初日から最終日の16番ホールまで首位を守り続けながら、惜しくも1打差の準優勝に終わった藤本佳則プロも、デビューから三戦目での大健闘です。


藤本プロのデビュー戦からキャディをしている前村直昭さんは、昨年まで私の兄弟子でもある伊澤利光プロのキャディをしており、公私に渡り仲良くしてもらっています。そんな関係で藤本プロともお話しさせてもらいました。


藤本プロは一見ショットメーカーのように映りますが、アプローチ、パターともルーキーとは思えない程洗練されていて、藤本プロ自身「実は僕は小技が上手いんですよ!」と胸を張っていました。


この悔しさをバネにして、またすぐにでも優勝争いに絡んでくるでしょう。楽しみな22歳です。


また大会期間中には、色々な方とお食事をしながら色々と為になる話を聞かせてもらいました。


この大会の企画段階から運営に参加している深堀圭一郎プロと、この試合の大会会長である加茂晴康さんには、大会運営や企業経営などのお話しを聞かせて頂きました。


別の日には、矢野東プロ&小岸秀行キャディらとも食事に出掛け、ゴルフ選手個人としての話しだけでなく、ツアー全体の方向性やゴルフ界の現状などの話しが出来て、とても参考になりました。




会場でも中継の中でも随所に手作り感が溢れる良い大会でしたが、
試合会場で気になったことがありました。


ラウンドリポーターの動きです。

「グリーン面をリポーターが歩いてはいけません!」


プロがあるがままの状態でプレーをする為に周囲のスタッフが最善の気配りをする必要があります。グリーン面やグリーンエッジは表面が柔らかいので人が歩けば変化が付きます。それは芝生の状態もそうです。リポーターが踏んでその万全の環境を壊しては台無し。試合をしている選手の空間に近づき過ぎてはいけません。


「プロのクラブに触れてはいけません!」


スタート前のプロのキャディバッグからクラブを抜き出し、グリップを普通に握って素振りを始めるではありませんか。プロは自分のグリップを他人に触られたくないものです。他人の手油で感触が変わる可能性があります。


私がツアーでキャディをした時でさえも、絶対にスタート前の選手のクラブのグリップには触れないように心がけていました。


その他にもまだまだ気付いたことが沢山ありました。これは自分自身も肝に銘じ、そして後輩達にもしっかりと伝えて行きたいと思います。


伝え手側が正しいマナーを守ってこそ、正しいゴルフ中継に繋がると思いますから。

日時: 2012年05月22日(火) |

アナウンサー