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尾山憲一(ytvアナウンサー)『スポ根劇場尾山の大将』

野球の神様降臨(2) ( プロ野球 ) > ( 阪神 ) 

♪この~一打に賭けろ~
♪気合~いで振り抜~けよ~
♪誰~もお前を止められぬ~
♪桧山~よ突っ走れ~


阪神2-7広島
2位阪神が3位広島に追い詰められた9回ウラ、
聖地甲子園の1塁側とライト側の右半分から
桧山のヒッティングマーチの大合唱が始まった。


本人も、ファンも、これが最後の最後の打席であることを認識していた。


マウンドは広島守護神ミコライオ。
あとアウト1つ取ればCSファイナルへの進出が決まる。


力みもあったのかもしれない…
205cmの長身から投げ下ろされた150k/hオーバーの1球…


逆に無心で力みのなかった桧山が振り抜いた打球はライトスタンドへ


2011年中日岩瀬から放って以来、
2012年も2013年(今季)も打てなかったホームランを
現役最後の最後の打席で放ったのだ。


誇らしげにダイヤモンドを一周する笑顔の桧山…
スタンドの阪神ファンの目には涙・・・


『やっぱり野球の神様はいたんですね…』


暗黒時代と言われた90年代、4番としてチームを支えた。
球団がFAやトレードで主力選手を獲得、彼らがチームの中心となる中、
生え抜き選手として新加入選手を溶け込みやすくするよう配慮したりもした。


いつしか、スター(4番)の座から代打へと立場が変わった。
自身が手にしたFAを行使して活躍の場があるチームへと移籍する手段もあった。
しかし、桧山が選んだ残留という道は、
試合出場の保障もない、移籍とは真逆のいばらの道だった。


この決断に元祖代打の切り札:川藤幸三は
『いい選択をした。でも乗り越えるには相当厳しいぞ。
ただ、乗り越えた先にはとんでもない何かが待ってるぞ!』
そんなエールを送った。


大先輩にあたる川藤幸三とは公私に渡ってアドバイスをもらう間柄だ。
『代打はレギュラーじゃない。補欠だということを自覚しろ。
ただ、代打の切り札は補欠の中のレギュラーだからな』
そんなやり取りをしょっちゅう見させてもらった。


常に野球に真正面から向き合い、
周りの人への感謝の気持ちを忘れず、
集まる仲間を大切にする男。


自分の私利私欲だけに生きてきた人には神様は絶対に降臨しない。
野球選手に限らず、誰しもに言えることだ。


歓喜に沸く甲子園・・・
その喧騒の中、次打者が三振に倒れ、試合は終わった。
だが、試合終了の事実を忘れさせてくれるほど、場内は感動に包まれていた。



勝利しCSファイナルへの進出が決まりハイタッチをする広島ナイン。
その横で、割れんばかりの桧山コールに応えるためにダッグアウトを出た桧山。


桧山コールがいつまでも続いた・・・
このまま終わって欲しくなかった・・・
川藤幸三が話した『その先に待っているとんでもないこと…』
まさにこの結果であり、この大声援のことだったのかもしれない。


桧山の一発は、阪神がCSで敗退した事実よりもファンの記憶に残ったはずだ。
桧山の残したこのメッセージを、
残された選手や球団関係者はどう受け止めるのだろうか?


野球に対して誠実にしていれば野球の神様は降臨する。
お天道様は見ているんです。







敬称略

投稿者: 尾山憲一 日時: 2013年10月20日(日) |

アナウンサー