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野村明大(ytvアナウンサー)『野村明大の徒然なる道』

徒然なる「首相公選制」を巡って考えること…

橋下さんが、盛んに、「首相公選制」の必要性を説いているが、
本当に、首相公選制は、今の日本の国に、絶対必要不可欠なものなんだろうか??
実は、私は、そこには、疑問を抱いているのです。


たとえば、鳩山さんや野田さん、菅さんや麻生さん、福田さん。
彼らが、首相公選制で首相の座に就いていたとして、うまくやっていたでしょうか?
私には、うまくやれていたとは、到底思えないのです。


「首相公選制なら、彼らは選ばれてないよ」そうおっしゃる方も、いるかもしれません。 
でも、そうでしょうか?? 
彼らは、就任当初は、一様に、高い支持率(どんなに低くても50%以上)を、誇っていました。 
その後の首相生活を上手くやっていれば、少なくとも支持率の「現状維持」は、できた。


それ(高い支持率の維持)をできなかったのは、ひとえに、
彼らの「決断力」「実行力」のなさであり、国民が求めていることに、
迅速に的確に反応することのできない「能力のなさ」ゆえ、だったのではないでしょうか。
私には、そう思えて、仕方ないのです。


「国民から直接選ばれた」という裏づけがないが故の「弱さ」という要素も、
多少は、当然、あるのかもしれません。 
でも、それは、二次的三次的な要素ではないかと、思うのです。
実際、小泉さんは、「国民から直接選ばれていない」にもかかわらず、
長期にわたって、高支持率を、維持し続けていました


小泉さんという人は、本当に、的確に、国民の声を汲み取り、
反映させることに長けていた人だったと、思います。
小泉さんの唯一の欠点は、大きな国家観と使命感に欠けていたことではないでしょうか。
もしそれがあるなら、郵政民営化のあと、さっさと辞めてしまうことは、なかったのではないでしょうか。


小泉さんが大きな国家観と使命感をもっていれば、
あのタイミングで辞めることはなかったと思いますし、
結果として、この国のあり方を、大きく変えることも、できていたはずです。
もちろん、その方向が正しかったか間違っていたかは、
後世、歴史の評価を待つしかないのですが。。。


それに取り組むことが出来た立場、そして能力の持ち主だったにもかかわらず、
そうせずに、さっさと辞めてしまった、
そのことをもって、私は、
小泉さんという人は、有能だったけれども、無責任な人だったなぁ、、、と、
感じずには、いられないのです。


さて、話がそれましたが、
少なくとも、小泉さんは、首相公選制ではなく首相になった人ですが、
今橋下さんが盛んにいう「決定できる政治」を、体現できた人でした。 
つまり、今の日本のシステムにあっても、
有能な政治家であれば、「決定できる政治」は、実行できるという証拠ではないでしょうか。


橋下さんは、ここは異論なく言えると思っているのですが、
「有能」な政治家であることは、確かだと思っています。
私は、小泉さんと比べても、能力的には、圧倒的に、橋下さんのほうが上位だと思っています。
元総理と一政令市長を比べるのはナンセンスという、
通り一遍の指摘がきそうですが…苦笑


これも付け加えておきますが、
「有能」だからといって、「全てやることが正しい」と言っているわけでも、ありません。
正しかったか間違っていたかは、後世、歴史にしか、決められないことです。


我々メディアができる精一杯のことは、
その時点で、間違っている可能性が高そうな方向、政策を、
少しでも、修正し、より良い方向へとなるように、
精一杯の目をこらし、批判し、指摘し、
建設的な議論を沸き起こすこと、だけです。


さて、
「一政令市長」と「元総理」という観点で言いましたが、
3世議員と言う恵まれた立場から総理大臣になるのと、
裸一貫から自分の実力ひとつだけでここまでのポジションを築き上げた現市長とでは、
政治的能力の優劣は、論じること自体が、むしろナンセンスだと、私は思っております。


言うまでもなく、
橋下さんのほうが、圧倒的に有能だという意味でです。 
先述したように、小泉さんも有能だと思っていますが、
そこは、総理になってからの、類まれなる政権運営能力によって評価される部分であって、
「総理になったこと」自体は、3世議員にとっては、そう難しいことではないでしょう。


「馬鹿なことをいうな。2世、3世議員が何人いると思っている?」
といわれる御仁がいらっしゃるかもしれませんが、
せいぜい、数十人、数百人規模でしょう?? 
そのうち、何人、総理大臣を輩出しています? この10年ほどで。。
倍率でいえば、アナウンサー試験のほうが高いくらいです。。。


対して、
橋下さんと同じような立場、境遇の人は、日本に、何千万人といますが、
その状況から、今のようなポジションまで独力でのし上がってくるというのは、化け物でしょう。 
政策や方向性、全てが正しいとは、何度もいうように、決していいませんが、
政治家としてのセンスや能力は、呆れるほど高い。


橋下さんのような類まれなる能力の持ち主であっても、
いまだ総理の座にはたどり着けていない。
確かにそこが、現システムの、「変化を嫌う」特質かもしれません。 
それが良い時代もあるし、それが悪い時代も、あるでしょう。 
迅速な改革が求められる時代には、確かに不向きなシステムかもしれません。


首相公選制になれば、「橋下総理誕生」の可能性は、ぐぐっと高まるでしょう。
もし誕生すれば、いろんなことを、大きく変えることもできる人だと、思います。
ただその結果、「良く変わる」か「悪く変わる」かは、
本当に、やってみないとわかりませんし、後世にならないと、答えは出ません。


国民は、「大きく変える」ことを選ぶ際には、
そこに付随したリスクを認識しないといけませんし、覚悟を持たないといけないですね。
その覚悟がないなら、「変えない」ことです。


「大きく変える」ことを選択しなければどうしようもないほど行き詰まっていると感じているなら、
覚悟を決めるべきでしょう。
さあ、
今の日本は、そこまでのところにきているのでしょうか?
それとも、
そこまでの状況ではないのでしょうか?
要は、国民の「危機感」は、どの程度のものなのかということ

投稿者: 野村明大 日時: 2012年03月05日(月) |

アナウンサー