先日、関西学院大学アメリカンフットボール部ファイターズ
甲子園ボウル優勝記念祝賀会の司会をさせて頂いた。
学生日本一の称号を手に卒業する4年生がコーチ陣のモノマネするなど盛り上がる中、
祝賀会も終盤に差し掛かり、監督・コーチ陣が来季へ苦言を呈したそのラスト...
鳥内秀晃監督が突然...
『来季(2019年度)で監督を退こうと決めました』
どよめく場内...
一部の関係者には伝えていたが、現役の学生達はその瞬間に知らされたからだ。
鳥内秀晃監督は、卒業後、アメリカでコーチ留学をした後、母校へ戻り、
1992年から名門ファイターズの指揮を執った。
これまで27年間で、
関西リーグ優勝16回・甲子園ボウル出場14回(優勝11回)・ライスボウル優勝1回
全力で関西リーグを戦い抜いてきた。
最初はうまくいかなかった...
就任2年目の93年にリーグ優勝を果たしたものの、
立命館大学の台頭、京都大学の雄々しさに苦しんだ。
部員数の多い名門チームなだけに、指揮官1人vs4年生全員では想いが伝わらない。
3年間甲子園が遠のき、鳥内氏は考えた。それならば1vs1で話そう...
以来、鳥内氏は毎年新チームになる時に4年生と個人面談している。
『お前はこのチームでどうしたいねん?』
「優勝したいです」「日本一になりたいです」「勝ちたいです」
学生からの返答は様々だったが、ここからが鳥内氏の手腕だった。
『じゃあ、やれ』
やり取りは短いものだが、夏合宿から秋深まるまで、その禅問答は続く...
チームがまとまっていないと
『やる言うたやんか!それでえぇの?』
『チームを勝たす言うたやろ?。それで勝てるの?』
『日本一になる言うたやんか!そんなんでなれるの?』
我々報道陣にもぶっきらぼうな対応を取るので、
鳥内氏を知らない若い記者やアナウンサーは面を喰らったことだろう。
家業はうどん製麺。その傍らチームを指導していた。
長期予報で今年は暖冬と予想されると『うどん売れへんやん』と決まってボヤいた...
馴染めば、普通の関西のおっちゃんだ...
19年度の新主将が「監督のために...」と挨拶したことにも、
『そんなこと思わんでえぇ。俺のためにやっても意味ないねん。自分のためにやってや』
どこかの大学とはエラい違いだ。
この場で後任は発表されなかったが、
現在アシスタントヘッドコーチを務めている大村和樹氏が既定路線と言われている。
実のところ、ここ数年、実務のほとんどを大村氏が執り行っていた。
それを目立たせないようにする意味で、鳥内氏は、我々の前に出てすべて背負った。
学生日本一(甲子園ボウル優勝)回数はダントツの29回
碧き戦士達は、名将のラストイヤーをどう飾るのか?
見続けていきたい。