関西学生スポーツの花形であるアメリカンフットボール。
関西の大学が日本一になれる可能性が高い団体スポーツであり、
ytvでは1980年頃代から毎年中継している。
11月19日、日本最高峰の戦いと言われている【立命館大学vs関西学院大学】
リーグ最終全勝決戦を実況した。
左から、西村大介さん(京大アメフト部監督) : 濱田篤則さん(関西学連審判部長) : 尾山
昨年度から甲子園ボウル(全日本大学選手権)へ出場するためのシステムが変わり、
関西リーグ2位からでも西日本代表校になれるようになったため、
他地域代表校との戦いはあるものの、実質、関西リーグの1位と2位が2回戦う図式となり、
昨年はリーグ1位の関学がリーグ2位の立命館を2度とも退け西日本代表校となった。
同じチームにたった2週間で2度も苦杯をなめた立命館。今年度の取り組みは壮絶なものだった。
関学と2回戦うことは承知の上で、まずは1度目の対決に全力投球。
立命館は、攻守ともに関学を圧倒。逆に関学は何一ついいところがなかった。
リーグ戦での対決では立命館が【21-7】で勝利し、2年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた。
リーグ2位に甘んじた関学は、敗れた1週間後の11月26日、
東海地区代表の名古屋大学に【49-17】で勝利し、立命館との再戦する資格を得た。
しかし、準備はたった1週間しかない...
迎えた12月3日(日)
雲ひとつない爽やかな冬空。日なたはさほど寒くなく、風もそんなに強くない。
絶好のフットボール日和だった。
再戦の結果は・・・
立命館大学【3-34】関西学院大学
正直ここまで差がつくとは思わなかった。しかも予想と真逆の結果に勝負事のわからなさを痛感した。
この結果を紐解くヒントは関学最初の攻撃結果にあったように思う。
立命館守備陣のQBサックで11yのロス。これで立命館守備陣は『今回もいける』と思ったはずだ。
ただ、前回と違ったのは関学QB西野の落ち着きだった。
試合後 『前回は焦ってしまった。立命館の強さは想定してたし、やっぱり強いと冷静になれた』と。
直後の2プレー目、RB34山口の58yロングゲインから開始4プレーで先制タッチダウンとなった。
今季初めて追いかける展開になった立命館。攻撃陣よりも守備陣に焦りが出た。
気持ちが前のめりになりオフサイドの反則が相次いだ。
11人中10人が4年生とまとまりのある守備陣がほころび始めた。
その隙を関学が見逃す訳がない。効率よく得点を重ね前半で【21-0】で折り返す。
前半ランが出ずロングパスに頼った立命館QB西山は2つインターセプトを喰らっていた。
どう立て直すのか?注目していた後半2プレー目、西山はキーププレーで負傷退場となる。
エースQBを欠いた立命館だが、バックアップQB 2年生の荒木の小気味よいプレーで反撃開始。
ただ自陣24y付近からのドライブでゴール前へ進むが詰めきれずFGの3点止まり。
ここも分岐点の1つだろう。
オンサイドキックは失敗に終わり、関学は課題のFG失敗で追加点ならず...
立命館はまだチャンスはあったが、追いかける攻撃陣も焦り始める...
4thギャンブルはエースRB32西村に託したが、今回は関学守備陣に止められ攻守交代...
その後のシリーズで、展開上決定的なタッチダウンを奪われた。
今日は攻守ともに何をやっても上手くいかなかった立命館。歯車が狂うとここまで違うのか...
逆に2週間前こてんぱんにやられた関学は攻撃陣、特にラインメン達が奮起した。
RBの個人技によるゲインもあったが、ラインの奮闘がすべてだ。
主将OL井若を中心に濃密な2週間を過ごしたのだろう。
試合前、鳥内監督は『4年生は大丈夫。あとは下級生』と話していた。
その想いが通じ、QB西野やRB山口ら3年生の気迫が出た。
試合後、主将井若は『チーム全員の力』と仲間を讃えた。
同時進行の結果、東日本代表は日大。17日は赤と青の甲子園に決まった。
関西リーグ優勝を飾りながら甲子園ボウル出場は果たせなかった立命館...
立命館主将#14近江は、校歌とエール交換、全体ハドルでは気丈に振る舞っていた。
しかしWRユニットの最後のハドルで涙腺が決壊した。
『でも本当は勝って泣きたかった』と...
システムのため言い訳はできない。米倉監督も『すべて私の責任』と唇を噛んだ...
競技普及やファン拡大とは言え、プロ野球クライマックスシリーズ同様、
優勝チームが次のステージへ進めない結果となった。
日本最高峰の戦いを2度も見られる喜びはあるが、
崇高な試合を短期間で2度行わねばならない関係者はたまらない...
ただ、関西学院大学の面々はこのシステムのおかげでチェンジできたとも言える。
終