入団13年目の苦労人が2日連続で甲子園球場のお立ち台に上り、
その頂きで「やりました!」と勝鬨の声を上げた!
阪神タイガース岡崎太一(33)
6月3日(土)はプロ初ホームランが逆転弾
6月4日(日)はプロ初のサヨナラ打
満面の笑みに加え、その目にはうっすらと涙もにじませていた。
智弁学園から松下電器(現パナソニック)を経て、04年自由枠で華々しく入団
しかし、捕手というポジションはそう簡単にレギュラーを奪えるものではなく、
即戦力として期待されてはいたが、なかなか芽が出なかった。
プロ野球選手としてはファーム(2軍)生活が続いた。
09年オフに球団はメジャー帰りの城島を補強。
岡崎入団後、昨オフのドラフトを含めると8人の捕手を獲得していた。
2015年までの11年間で1軍出場はわずか41試合。15年はたったの1試合だった。
転機は突然訪れた・・・
2015年オフ、金本知憲監督・矢野作戦兼バッテリーコーチの就任だった。
支配下選手だけでなく、育成選手も含めて、
在籍するすべての選手を平等な目で見ると宣言した通り、
沖縄宜野座村の春季キャンプから遅まきながら頭角を現し、
昨シーズンは公式戦の開幕スタメンマスクの座を勝ち取った。
しかし、野球の神様は、まだまだ安住の地位を与えない・・・
昨季途中、試合中の打席でファウルを打った際に左手有こう骨を骨折し、
シーズン半分を棒に振ってしまった・・・
ユニフォームを脱ぎ、自宅に帰ると3人の子供達が待っている。
ファーム暮らしが続いたおととしまでは、子供達にとっては夜一緒にいてくれるいいパパだ。
【野球人として1軍でのプレーが続く = ナイトゲームが増える = 夜パパはいない】
でも、ケガもあり自宅で夜を過ごすことが増えた時、長男から思わぬ言葉を掛けられた。
「夜いなくてもいいから1軍で活躍して欲しい」
家族のためにももっともっと頑張らないと・・・岡崎パパは巻き返しを誓った
今季は8歳年下の梅野に正捕手の座を奪われているが、
その梅野捕手も必死にもがいて努力した末のここまでの活躍だ。
岡崎は打撃が・・・首脳陣の共通見解である。
開幕直後、岡崎の打撃練習を見ていた指揮官は
「岡崎は力をバットに伝えられないNO.1」と冗談交じりに揶揄した。
そんな岡崎がバットで2日連続チームの勝利に貢献した。
『野球の神様っているんですかね・・・』
おめでとうメールへの返信だった。
色々と言われながらも、必死にバットを振り続けた男にようやく舞い降りた野球神。
野球の神様は絶対にいる!
地道な努力を重ねた男を神様は裏切らない。
昨年ブレイクした原口や今季正捕手の座を射止めた梅野にも野球神は微笑んだ。
ただ、野球神は気まぐれだ。
邪心や慢心が見えるとすぐプイッとそっぽを向く・・・
それでも挑み続ける野球選手達。
こういうシーンを目の当たりにした時、この仕事をしていてよかったと思える瞬間である。
敬称略